ディーゼルエンジンをクリーンにしたClearFlame EngineはVCのほか政府省庁も支援

ディーゼルエンジンは貨物輸送や農業の働き者であり、経済とそのサプライチェーンを支えている。しかし、環境に対しては汚れ役でもある。イリノイ州ジニーバで4年前に創業したClearFlame Engine Technologiesによると、同社はディーゼルエンジンをクリーンに利用する方法を発見した。

TechCrunch Disrupt 2020のStartup Battlefieldに出場した同社は、ディーゼル形式のエンジンをエタノールのような再生可能な燃料で運用する新しい方法を開発した。共同創業者でCEOのBJ Johnson(BJ・ジョンソン)氏は最近のTechCrunchのインタビューで「その技術は、ディーゼルエンジンの性能上の利点に、これら代替燃料のローコストと低排気を結び付ける」と語っていた。

ClearFlameによると、石油燃料100%をエタノールのような炭素を除いた燃料で置換すると同社の技術では正味の温室効果ガスの排出を少なくとも40%は削減し、特定の物質およびスモッグ(NOx)をゼロ近くに抑える。

同社は、ディーゼルエンジンの設計を変えない。むしろジョンソン氏と共同創業者でCTOのJulie Blumreiter(ジュリー・ブルムライター)氏が開発したのは、エンジンの内部の部品を変えてその熱力学を変換し、脱炭素燃料を早く点火・燃焼する方法だ。「この技術を使えば、ディーゼルエンジンの設計の80%から90%は変わらない」とジョンソン氏は説明する。

同氏によると、最終的に得られるのは炭素排出量を迅速で安価に減らす技術だ。それは、地方自治体、州、国も排気ガスに関する規制を強化しようとしているいま、企業が求めているソリューションだ。

この技術は既存の古いディーゼルエンジンに後付けできるし、トラックや工場設備などにまだ据え付けられていない新しいエンジンにも適用できる。ClearFlameはエンジンのメーカーと協働することを望んでおり、それと並行して修理や保守などアフターマーケットへのアクセスも狙っている。

ジョンソン氏は「エンジンメーカーのサプライチェーンを活用したいと考えています。メーカー各社のスケール能力とマーケットへのリーチ、そして信頼されているブランドの力も借りたいです」と語る。それが、エンジンメーカーをOEM相手にしたい理由だ。

この技術は最初、スタンフォード大学の研究室で生まれ、ブルムライター氏とジョンソン氏はこれでPh.D.の学位を取った。スタンフォードでは主に、単純な液状アルコールであるエタノールとメタノールにフォーカスした。ジョンソン氏によると、その後の研究で同じコンセプトが天然ガスやアンモニアでも等しく有効とわかったそうだ。

ジョンソン氏は「大きな違いは、これまでの技術で通常環境の液体燃料と決別するにはエンジンの噴射系の手直しが必要でした」と説明する。「アルコールのように周囲の環境に置かれたガラスの中の燃料でエンジンを効率的かつクリーンに運転できることは、ビジネス価値が非常に高いのです」と続ける、

ClearFlameは自社技術ですでに事業を進めており、初期のパートナーや資金を獲得している。同社は米エネルギー省傘下のアルゴンヌ国立研究所でキャタピラーのエンジンを用いて概念実証のデモも終えている。また、エネルギー省の助成金により、ディーゼルエンジンメーカーのCummins(カミンズ)のエンジンでのデモを実施済みだ。

4月にClearFlameは、CleanEnergy Venturesがリードするラウンドで300万ドル(約3億1400万円)を調達した。また政府助成金で数百万ドルを獲得しており、その中にはNSFとエネルギー省および農業省のSmall Business Innovation Research(小企業イノベーション研究)賞が含まれる。

画像クレジット: ClearFlame Engine Technologies

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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