オーストラリア拠点のデザインツールメーカーであるCanvaは米国時間10月16日、新たに1000万ドル(約11億円)を調達し、バリュエーションが32億ドル(約3480億円)になったと発表した。5月時点でのバリュエーションは25億ドル(約2720億円)だった。
投資家には、Mary Meeker’s Bond、General Catalyst、Bessemer Venture Partners、Blackbird、Sequoia Chinaが名を連ねる。
新たな資金調達とバリュエーションの発表とともに、Canvaは「Canva for Enterprise」を立ち上げて企業分野にも進出することを明らかにした。
これまでCanvaは、マーケティングやセールスの飾り、ソーシャルメディアの材料、そのほかプロダクトデザインにほとんど関係のないデザインプロダクトを作るための軽量のツールセットをユーザーに提供してきた。というのも、プロダクトデザイナーを除き、ほとんどの組織が使用している材料でブランドの価値を維持するのに苦慮しているからだ。
Canvaは個人ユーザー向けには無料で提供されているが、ブランド価値を維持したいという組織の増大するニーズにはCanva Proで対応してきた。Canva Proはプロダクトのプレミアムバージョンで、月12.95ドルで利用できる。
そしていま同社は、Canva for Enterpriseを立ち上げて組織向けサービスを拡大しようとしている。新しいプロダクトはブランドキット(Design Systemと呼ばれている)を提供するだけでなく、マーケティングとセールスのテンプレート、承認ベースのワークフローを提供する。また、Canvaの膨大な量のデザインライブラリーを隠し、従業員が承認されたブランドアセット、フォント、カラーなどだけにアクセスできるようにする。
Canva for Enterpriseはまた、整頓という要素も備えている。コメントやり取りでのコラボ、チーム作業や役割分担を管理するダッシュボード、チームフォルダーなどが利用できる。
「我々は幸運な立場にある。というのも、マーケットの競争が緩やかになってきているからだ」とCanvaのCEOで創業者のMelanie Perkins(メラニー・パーキンス)氏は話す。「消費者が抱える困難についての我々の考え方は、人々がブランドと相容れないと考えるものだ。組織内にはかなりの非効率な部分があり、それゆえに人々はCanvaにこのプロダクトを作るよう、文字どおりリクエストしてきた」。
毎月、190カ国超で2000万人以上がCanvaにサインインしていて、同社によるとFortune 500の85%の企業がCanvaを利用している。
「最終目標は、インターネットとデザインにアクセスする世界中の人がCanvaのプラットフォームを利用するようになることだ」とパーキンス氏は語った。
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(翻訳:Mizoguchi)