ヘルスケアIoT製品を開発するスタートアップのサイマックスは12月9日、Draper Nexus Venture Partners II,LLC、iGSインベストメントワークス(アイスタイル傘下のCVCだ。詳細はこちら)および個人投資家から資金調達を実施したことを明らかにした。調達額は非公開で、今回がシリーズAの調達となる(IoTスタートアップを支援するインキュベーターのABBA Labからシードマネーを得ている)。払い込みは11月で、リードインベスターはDraperとなっている。
サイマックスは2014年6月の設立。代表取締役の鶴岡マリア氏は以前、インキュベーターのサムライインキュベートで投資家の支援から新規事業までを担当していた人物だ。同社のオフィス兼コワーキングスペース「Samurai Startup Island(SSI)」の立ち上げにも関わっており、こちらのスペースで同氏を見たことがあるというスタートアップ関係者も少なくないのではないだろうか。
残念ながら同氏が手がけたサービスは終了してしまったのだが、その後サムライインキュベートを退社、起業の準備を進めてきた。
サイマックスが開発するのは、世界初となる小型・低価格のトイレ後付け型の分析装置とヘルスモニタリングサービス——もう少し具体的に説明すると、自宅や施設のトイレに後付けで設置し、自動で排泄物の分析を行うというもの。
こちらの写真を見て欲しいのだが、便器内にセンサーを設置、タンク左に付いている装置でデータを取得、クラウド上にデータをアップして解析、その結果をスマホアプリで閲覧できるというものになる。
その精度は非常に高いそう。またクラウド上で解析を行うため、逐次その検査方法もアップデートできるのも強み。すでにヘルスケアメーカーなどが競合製品を提供しているが、鶴岡氏いわく強みとなるのは検査項目の多さと価格。
サイマックスの製品で検査できる項目は早期の糖尿病(完全に治せるフェーズ)、痛風、高血圧・心疾患リスク、感染症などのスクリーニングやモニタリング。「発見できる疾患数は桁違い」(鶴岡氏)。また価格は競合製品では200万円程度のものから数千万円のモノ(病院や検査機関にある装置)まであるそうで、手軽に導入するのは難しそうだ。サイマックスの製品価格は非公開ながらそれよりも安価に導入できるとしており、さらに「施設のトイレに導入して使用する場合、1回980円でサービスを提供できる予定」(鶴岡氏)とのことだ。
同社は2014年以降製品を開発を進めてきた。最近ではメドピア主催イベント「Health 2.0-Japan」内で行われたヘルステックのピッチコンテスト「Afternoon Pitch Competition」に出場して優勝するなど徐々に露出を始めている。
サイマックスでは以前、血液1滴で疾患の検査ができるというプロダクトを開発していた。そこからトイレを使った全自動なシステムにピボットしたようだ。「病院に行かず、この場で腫瘍マーカー検査ができるとしてユーザーテストを行ったが、針を使って血を抜くこと自体をやったことないので抵抗があるという人が多かった。予防領域だと『血を抜く』という行為はハードルが高かった」(鶴岡氏)。そこでより簡単に疾患をチェックできるものを…と思い、現在のプロダクトにピボットした。今後はテスト導入を進めていき、来夏にも正式にリリースする予定。