ナイアンティックがスマホAR「ピクミン ブルーム」を配信開始、任天堂と共同開発した「歩くことを楽しく」アプリ

ポケモンGOのナイアンティックが、任天堂と共同開発したスマホアプリ『Pikmin Bloom』(ピクミン ブルーム)の配信を開始しました。

『ピクミン ブルーム』は「歩くことを楽しくする」アプリ。従来の『ピクミン』の移植ではなく、ポケモンGOのように元のゲームを現実世界で再構成したものでもなく、「ゲーム」という言葉も使っていません。

では何かといえば、日々の散歩や通勤通学で歩くこと全般を、「不思議な生き物ピクミンを引き連れて一緒に歩く」世界観と、発見や収集・地図埋めといったゲーム性でもっと楽しめるように支援するアプリ。よく聞く言葉でいえばウォーキングの「ゲーミフィケーション」です。

ピクミンと一緒に花を植えつつウォーキング。コーヒーカップに入ったデコピクミンも

ピクミンと一緒に花を植えつつウォーキング。コーヒーカップに入ったデコピクミンも

具体的な内容は、歩いて苗を育ててピクミンを増やす(要するにポケモンGOのタマゴ)、珍しい種類のピクミンを集める、歩きながら花を植えて地図上を花畑にする(ここが「ブルーム」)、毎日の歩数や発見を記録して振り返るライフログなど。

いわゆるスマホゲームをしない人にも始めやすい一方で、歩くほどにピクミンが増え新たな発見があるなどついつい進めたくなる / 歩きたくなる仕掛けの数々を用意しており、広い意味では間違いなくゲームです。

引き連れて歩けるピクミンが増えるほど拾ってくるものも増え、遠征のような「おつかい」要員も増えるため、最初はただひたすらにピクミンを育てて引っこ抜いて増やすことが目的であり楽しみになります。

ふかそうちならぬバックパック型プランターに苗をセットして育成。基本のピクミンは当初7種

ふかそうちならぬバックパック型プランターに苗をセットして育成。基本のピクミンは当初7種

ポケモンGOと並行しやすい低負荷

「集める・見つける」と聞くとポケモンGOの二番煎じのようですが、ピクミン ブルームの特徴はプレーヤー / ユーザーの注意資源をあまり使わず、好きなタイミングで進められること。

ポケモンGOではプレーヤーがマップを注視して、欲しいポケモンがいたらその場でタップして狙ってボールを投げるなどリアルタイム性があり、いま手が離せないから!とスマホに集中するタイミングがありますが、ピクミン ブルームでは基本的に歩いているうちにピクミンが苗やフルーツなどを見つけたり拾ってくれるため、移動中はスマホを出さなくても別のことに使っていても、後から好きなタイミングで確認して受け取ることで進められます。

花を植えて歩く「ブルーム」

もうひとつの特徴は、タイトルにもなっている花を咲かせる要素。ただ歩くだけでも自分だけの地図上には足跡が残り、ライフログとして振り返ることができますが、 ピクミンの頭から収穫する「花びら」を消費して「花植え」して歩くと、マップ上にほかのプレーヤーからも観られるカラフルな花が咲きます

「花植え」をオンにして歩くことで普段通る道沿いに花を咲かせたり、色の違う花びらを使って装飾的な花畑を作ることも。ピクミン ブルームのプレーヤーが増えるほど街が花で溢れ、多くの人が歩く経路ほど花の道として可視化されることになります。

巨大な花はIngressのポータル、ポケモンGOのポケストップに相当。周囲に花を植えると咲く謎生態系

巨大な花はIngressのポータル、ポケモンGOのポケストップに相当。周囲に花を植えると咲く謎生態系

花植えはただ目に楽しいだけでなく、プランターのなかの苗の成長が加速(タマゴが孵りやすく)、ピクミン苗や果物などの発見率向上、地図上の特定ポイントに生えた大きな植物の成長を加速といったゲーム的な誘引もあります。

(マップ上の巨大な花は、ポケモンGOではポケストップがあるポイントに対応。最初は芽や葉の状態で、近くに花植えすると謎の効果で成長が促進されて巨大な花が咲きます。巨大な花が咲いたポイントでは珍しいアイテムを発見する確率が上昇。咲いているから近くまで歩こう、もう少し育てようと歩く誘引になります)

さらにこの花植えは、オプションの「みんなで花植え」モードも選択可能。みんなで花植え中は花だけでなく自分のアバター(Mii)もリアルタイムにマップに現れ、一緒にウォーキングと花植えが楽しめます。ナイアンティックではこの「みんなで花植え」を使ったイベント「コミュニティ デイ」を毎月実施する予定。

(花植えについて注意。花植えオンのままたとえば駅から徒歩で帰宅すれば、もし他のプレーヤーが少ない場所なら、最寄りから自宅まで分かりやすい一本道がしばらく(数日間)残ることになります。

誰が植えた花かまではアプリから分かりませんが、リアルでピクミン ブルームを遊んでいることを知られているが家までは教えたくない相手など条件が揃えば、少々面倒なことになりかねません。

アプリ上でも注意がありますが、花植えのオンオフは意識的に、跡を残したくない場所では使わない注意が必要になりそうです。といっても花植えには有限の資源を消費するため、切り忘れて永遠に行動範囲に線を引くことにはなりません。もしもの場合は、設定から歩行と花植え履歴を削除することもできます。)ナイアンティックがスマホAR「ピクミン ブルーム」を配信開始、任天堂と共同開発した「歩くことを楽しく」アプリ

デコピクミン、ポストカード、ライフログ、AR

基本は「歩く、たまにアプリを開いてピクミンが拾った苗や果物を回収、苗はプランターにセット、育ったら引っこ抜いて増やす」の繰り返しだけでも、シンプルにピクミンの数や種類が増えてゆくことを楽しめます。

上記の「花植え」のほかさらに楽しむ要素としては、ピクミンが自分の出身地にちなんだアイテムを拾って身につける「デコピクミン」集め、ピクミンが拾ってくる様々な場所の「ポストカード」集めやフレンドとの送りあい、その日の足跡と写真、一言コメントを足したミニ日記のような「ライフログ」をつけて後から振り返るなど。ナイアンティックがスマホAR「ピクミン ブルーム」を配信開始、任天堂と共同開発した「歩くことを楽しく」アプリ

ポケモンGOのようなAR写真ももちろん撮影可能。ピクミンの隊列をまるごと撮影できます。もとのピクミンがリアルな地形のかげに小さな謎の生き物というビジュアルだったため、多数のピクミンが果物やアイテムを抱えて現実に現れるスケール感はなんとも言えない楽しさ。

動画でもマカロンになったピクミンなど見たこともない個体が写っていましたが、ゲーム的に攻略するユーザーには「デコピクミン」集めが熱くなりそうです。

ピクミン ブルームは10月27日から、まずシンガポールとオーストラリアで正式配信を開始。数日間で他の地域にも展開する計画です。

Engadget日本版より転載)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。