ハンズオン・レポート:YouTubeの月額9.99ドルの有料音楽アプリ、Redは快適で有用

今日(米国時間11/12)、YouTubeは音楽アプリを公開した。このYouTube Musicは新しい楽曲を簡単に発見できる。またユーザーにまったく新しい音楽体験をもたらすものだ。有料版のYouTube Redは月額9.99ドルとなる。

YouTubeの音楽ビデオは圧倒的人気があり、専用音楽アプリは長らく待たれていたので、今日の発表自体は大きな驚きではないかもしれない。YouTubeの視聴者は世界で最大10億人に上るということだ。

もちろんモバイル・アプリのストアにはすでにYouTubeの曲をリストしたり、再生したりする製品が多数アップされている。Googleの新しいYouTubeアプリの特色は、シンプルで軽く使いやすいことと、ビデオ視聴とバックグラウンドのオーディオ再生の間を簡単に行き来できることだろう。

ユーザーが新しいYouTube Musicを立ち上げると、まずカスタマイズされたホーム画面が表示される。ここには簡単なジャンル分けがされており、個人の好みに従ってさらに複雑な設定が可能だ。ユーザーはMusicを立ち上げた状態ですでにYouTubeにログインしている可能性が高い。そこでGoogle側ではユーザーの視聴、検索履歴を知っていることになる。
YouTube Musicはここからさらに一歩を進めて、ユーザーの音楽の好みを知ろうとする。

曲を再生したとき、下部に表示される親指を立てた「いいね」ボタンをクリックすると、その曲は自動的に「後で聞く」リストに追加される。「いいね」ボタンからさらに詳しくYouTubeに音楽の趣味を伝えることも可能だ。

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トレンドのタブをクリックすると、現在人気上昇中のアーティストや楽曲を聞くことができる。またThe Daily 40では正統的なヒット曲も聞ける。これはありきたりの「トップ
40」のようなネット・ラジオ番組ではない。人間の専門家が現在YouTubeに登録された楽曲を精査してリストを作成している。ビデオは再生後に、無制限に続くラジオに移行することが可能で、
同じアーティストが次に発表した曲を聞くこともできる。またユーザーは曲のリストをさらに斬新で冒険的なものにしたり、これまで聞いた楽曲に趣味が似たものを再生するようにしたりできる。

どこから利用を始めようとMusicアプリで音楽がストップすることはない。曲またはアーティストを選択すれば、その情報にもとづいてYouTubeに登録された膨大な音楽カタログがただちに検索される。あまり選択肢が多いことに圧倒されたら、ともかくホーム・タブを押しておけばよい。YouTubeは視聴履歴にもとづいてユーザーが興味を持ちそうな楽曲を集めたラジオ局を作成してくれる。

さて全体としてこのアプリのユーザー体験を評価してみよう。有料版のYouTube Redに広告は表示されず、チャットやメール処理など他の作業をしながらバックグラウンドで音楽再生を続けることができる。このYouTube
Redにはオフライン機能もあり、ビデオを見ないでよい場合はオーディオ再生のみのモードも利用できる。スマートフォンをポケットに入れた状態で引き続き音楽を楽しみたい場合にオーディオのみ再生モードは必須の機能だ。ユーザーがポケットからスマートフォンを取り出してアンロックすると、YouTubeで現在再生されている曲のビデオが直ちに表示されるのも便利だ。またこのスマートなスイッチ機能のおかげでバッテリーやデータ通信量が大幅に節約される。

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しかし音楽アプリの無料版となると、広告が表示され、バックグラウンドでの音声のみ再生モードもサポートされない。ユーザーが作成したリストに基づいてオフラインで楽曲を聞くこともできない。つまり新アプリの特色をなす機能のほとんどは有料版のみの機能ということになる。

ユーザーのほとんどはすでにYouTubeを利用しているだろうが、月額有料版のYouTube Musicはアプリは音楽体験をまったく新しく、大いに楽しめるものにしてくれる。試してみる価値は間違いなくある。ユーザーは今日からYouTube MusicをGoogle PlayまたはApp Storeから無料でダウンロードできる〔日本版:訳者の環境では日本語版はまだ未公開〕。この場合、有料プレミアム版のRedの機能は2週間無料で試すことができる。Redはたいへん快適なので、トライアル終了が終了するのが惜しくなり、有料版に登録することになってしまいそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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