Biden(バイデン)米国大統領は、現地時間4月28日に議会で行った演説において、ワクチン接種の取り組みについて国民に報告するとともに、政権の野心的な目標を説明した。
バイデン大統領が就任してからの100日間は、何百万人もの米国民を貧困から救い、気候変動に歯止めをかける、広範な立法措置が印象的だった。だが、議会の上下両院合同会議で初めて行った施政方針演説では、それより規模は小さいものの劣らず野心的なもう1つの計画を強調した。それは「我々が知っている限りのがんを撲滅する」というものである。
「これ以上に価値のある投資はありません。これ以上に党派を超えた取り組みもありません」と、水曜日の夜に語ったバイデン大統領は「それは私たちの力でできることです」と続けた。
この発言は突然出てきたものではない。ホワイトハウスは2021年4月初め、画期的な健康研究のための新しい政府機関を設立するために、65億ドル(約7075億円)の予算要求を発表した。この機関は「ARPA-H(Advanced Research Projects Agencies for Health、医療高等研究計画局)」と呼ばれ、NIH(National Institutes of Health、国立衛生研究所)の中に設置される。当初はがん、糖尿病、アルツハイマー病などを対象とするが、さらに医療研究を根本的に変えるような「変革的イノベーション」を追求することになる。
この65億ドルの投資は、NIH予算の510億ドル(約5兆5520億円)の一部だ。しかし、ARPA-Hは、NIHの中に置くのではなく、保健福祉省の下に置くべきだと批判する専門家もいる。
ARPA-Hは、国防省の高等研究計画局(DARPA)をモデルにしている。DARPAは、国防への応用を目的としてムーンショット的な技術を開発している機関だ。DARPAの目標は、科学というよりも空想科学のように聞こえることが多いものの、これまでに、GPSの前身となる技術や、現代のインターネットに発展したコンピュータネットワークであるARPANETなど、現在のさまざまなユビキタス技術に貢献したり、その基礎を作り上げてきた。
DARPAは、保守的で漸進的な研究チームとは異なり、他の政府機関よりもシリコンバレーに近い形で、大きな科学的進歩を積極的に追求している。バイデン大統領は、DARPAのモデルを最先端の医療研究に用いることで、米国がバイオテクノロジーの分野で後れを取ることはないようにしようと考えている。
「中国や他の国々が急速に迫ってきています」と、バイデン大統領は演説の中で述べた。「私たちは、未来の製品や技術となる、高度なバッテリー、バイオテクノロジー、コンピューターチップ、クリーンエネルギーを開発し、優位に立たなければなりません」。
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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ジョー・バイデン、がん、医療、アメリカ
画像クレジット:Melina Mara/The Washington Post/Bloomberg / Getty Images
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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)