フォードが自動運転車両によるサービス開始を2022年に延期、新型コロナの影響で

Ford(フォード)は4月28日、自動運転車両によるサービス開始を2022年に延期すると明らかにした。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックを受けてGTM(Go-To-Market)戦略を見直した結果だ。

計画の後ろ倒しは、4月28日の市場がクローズした後に発表された同社の四半期決算の中で明らかにされた。第1四半期決算は20億ドル(約2130億円)の赤字で、前年同期は11億ドル(約1170億円)の黒字だった。新型コロナウイルスの事業への影響はまだ続いており、第2四半期は赤字幅が大きくなると同社は予想している。

フォードは、米国で自動運転車両のパイロットを立ち上げた他の企業と少し異なる。同社は2021年の商業展開前に統合される2つのプロジェクトを並行して進めてきた。自動運転ビジネスモデルがどうなるかをテストして追求する一方で、それとは別に自動運転車両テクノロジーを開発していた。

同社が2017年に10億ドル(約1070億円)を出資したピッツバーグ拠点のArgo AIは、フォードの自動運転車両向けにバーチャル・ドライバー・システムと高解像度マップの開発を手掛けている。フォードはWalmart(ウォルマート)やDomino’s(ドミノ)、Postmates(ポストメイト)、その他いくつかのローカル事業会社などのパートナーとのパイロットプログラムを通じて、GTM戦略をテストしてきた。

フォードは4月28日、新型コロナウイルスが顧客の行動にもたらすであろう長期的な影響を精査する必要があると述べた。自動運転車両計画に関する同社の声明文は以下の通りだ。

現在の事業環境、そして新型コロナウイルスによる顧客の行動への長期的な影響を精査する必要性を考慮し、フォードは自動運転サービスの開始を2022年にシフトさせることを決めた。顧客の行動を理解することは新たなモビリティサービスを信頼のもとに構築し、人々の暮らしをより簡単なものにするために重要な部分だ。

顧客の行動の変化を研究するのに時間を割くことで、顧客の新たな需要に応じるためにGTM戦略を精査したり、変更したりすることができる。精査の一環として、我々が構築している顧客エクスペリエンスが人々に、我々の車両の中で自分自身や荷物が安全で守られているという安心感を提供しているかどうかも確認したい。

新型コロナウイルスはすでに消費者の行動に影響を及ぼしている。最初に新型コロナウイルスが発生した中国において、フォードはオンライン販売を導入した。CEOのJim Hackett (ジム・ハケット)氏は、今や中国における販売の3分の1がオンラインでのものだと語った。

同社はまた、特定のプロダクトに対する需要も変化すると予想している。「このパンデミックは今後数年にわたって顧客の暮らしや仕事に影響を及ぼすと考えている。今後の生活で重要なものとしてタッチゼロ(セルフサービス)があるが、特に商品の配達やマイクロモビリティの分野で自動走行導入への関心に拍車がかかるだろう」と最高執行責任者のJim Farley(ジム・ファーレイ)氏は決算発表時に語った。

決算発表の一環で公開したスライドで、フォードは「AlgoへのVWの中間投資は予定どおり」とした。VWグループは2019年7月に資本と資産で26億ドル(約2770億円)をArgo AIに投資すると発表した。

Fordの自動運転以外の車、デザインを新しくしたF-150トラックやハイブリッドバージョンなどの発売は予定通りだ。同社は中型SUVであるFord Bronco(フォード・ブロンコ)の発表も計画していて、そして今後3年間で中国でFordとLincoln(リンカーン)の車30種(うち10種は電気自動車)を発売する計画だ。

新プロダクトの小型オフロード車両や電動Mustang Mach-E(マスタング・マッハ-E)、ブロンコの立ち上げのタイミングは、生産が戻ってオペレーションの準備が把握でき次第アップデートすると同社は述べた。

“新型コロナウイルス

画像クレジット: Ford Motor

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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