プライバシープラットフォームのOneTrustが約5280億円のバリュエーションで310億円調達

プライバシープラットフォームのスタートアップOneTrust(ワントラスト)は、AirWatch(2014年にVMWareに約1553億円で買収された)を展開していたチームが4年前に立ち上げた。OneTrustは米国時間12月21日、51億ドル(約5280億円)という巨額のバリュエーションで3億ドル(約310億円)のシリーズCラウンドを発表した。

同社はかなりの短期間で、投資家から相当な関心を集めた。2019年7月に同社は13億ドル(約1346億円)のバリュエーションで2億ドル(約207億円)のシリーズAを実施し、型破り的に登場した。この数字はシリーズAにしては一般的というものではなく、典型的なスタートアップの例でもなかった。シリーズBも同様で、2020年2月に27億ドル(約2795億円)のバリュエーションで2億1000万ドル(約217億円)を調達した。

そうした経緯を踏まえた今回のシリーズCだ。バリュエーションはまたも倍になり、わずか18カ月でしかもパンデミックを含む期間に7億1000万ドル(約735億円)を調達した。シリーズCはTCVがリードし、既存投資家からInsight PartnersとCoatueが参加した。

こうした資金を集めるために、OneTrustは何をしているのか。GDPRやCCPA、その他同様のプライバシー法がすでに米国や世界中で施行されている時代にあって、企業は事業を展開する地の法律を遵守していることを確かなものにする必要がある。そこでOneTrustの登場だ。

「当社は企業が信用されるよう、またプライバシーや信用、リスクに関するあらゆる法律を遵守していることを確かなものにするのをサポートしています」とOneTrustの会長であるAlan Dabbiere(アラン・ダブビア)氏は筆者に語った。

ここには同社がすでに構築したり買収したりした一連のプロダクトが含まれ、プライバシー管理やディスカバリー、サードパーティリスク評価、リスク管理、倫理・コンプライアンス・同意の管理などを含む、顧客のあらゆるプライバシー要件をカバーするプライバシープラットフォームを提供するために同社はすばやく動いてきた。

OneTrustはすでにプラットフォームに7500もの顧客を引きつけた。そして四半期あたり1000の顧客を増やしている。ダブビア氏は、顧客がプロセスの構築や買収に多くの軋轢を加えることなく法律を遵守できるようにサポートしている、と話す。「目標は、プロセスのスピードを緩めるのではなく、スピードアップすることです。プライバシーバイデザインと呼ばれる新たな哲学があります」と同氏は述べた。つまり、プロダクトにプライバシーの透明性を盛り込む一方で、あらゆる法律や当局が求める要件に従っていることを確かなものにすることを意味する。

OneTrustは、プラットフォームを構成するものの、買収に資金を使うことを公言してきた。創業以来、わずか4年の間にすでに5件の買収を行った。従業員数は1500人で、2021年には約900人を加える計画だ。

こうした労働力を構築する際、アトランタのようなかなり人種が多様な都市に拠点を置くことが、従業員の多様性を構築する上で助けとなったとダブビア氏は話した。「アトランタのようなエリアでベストな従業員を見つけて事業を展開することで、当社は自然と多様性のある企業になっていました。私たちは多様性をかなり気にかけています」と同氏は述べた。CEOのKabir Barday(カビール・バーデイ)氏も、アトランタのコミュニティや米国中で起こったBlack Lives Matter運動への対応策として今夏、ダイバーシティ・平等・インクルージョンの評議会を社内に立ち上げた。

パンデミックが襲う前、OneTrustは展示会にかなり頼っていた。実際、同社は年間700もの展示会に参加していた、とダブビア氏は話す。パンデミックになって展示会がなくなり、OneTrustは当初、売上高ガイダンスを下方修正した。しかし顧客とともにデジタルチャンネルに移行するにつれ、売上高は予想に反して落ち込まなかった。

OneTrustにはこれまでの投資ラウンドで得た資金がまだ残っているが、さらに調達する理由がある、と同氏は話す。「資金を調達する最大の理由は、当社の持ち合わせ額でした。従業員、買収、そして成長に向けた次なるステップのために持ち合わせ額を再評価する必要がありました」と同氏は述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:OneTrustプライバシー資金調達

画像クレジット:ANDREI NIKOLAEV / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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