ポケモンGOのプレイヤーは サードパーティーの位置モニターが禁止されたことやゲーム中での位置追跡機能も削除されたことに強い不満を抱いているかもしれない。
しかしそうしたことがあってもこのゲームが口コミで拡散するスピードはまったく衰えていないようだ。App Storeの情報を分析しているApp AnnieによればポケモンGOアプリはこの週末に世界で1億ダウンロードを達成した。7月の末の数字が7500万ダウンロード だった。
Androidでも5000万ダウンロードを達成したのが新記録の速さだった―わずか19日だ。これに次ぐ記録は Color Switchの77日、Slither.ioの81日で、大きく差をつけている。Appleの発表でもポケモンGOはリリース当初の週のダウンロードとしてこれまでで最多だったという。
App Annieによれば、ポケモンGOの一日あたり売上はiOSとAndroidを合計して1000万ドだ。ただし、売上や利用時間に関して他のアプリ、ゲームに与えた影響一時的なもので、ごくわずかだったという。
App Annieの調査によれば、ポケモンGOのプレイ時間が長く頻繁なことは事実だが、これはアプリ・エコシステム全体を拡大する効果をもたらしているという。
ポケモンGOがiOSとGoogle Playで他の有力アプリに悪影響を与えた形跡はない。アメリカではポケモンGOのリリース直後に1日あたり売上の一時的なダウンがあったが数日で平常に戻っている。オーストラリアではポケモンGOのローンチ後に他のゲームの売上が多少だが増加している。しかもポケモンの故郷であり、文化的にも結びつきの深い日本でも7月22日以前の10日間の平均を通常のレベルとした場合、ポケモンはGOはその5%しか占めていないという。
App AnnieはMobile Strike、Clash of Clans、Candy Crush Sagaなどのトップ・ゲームについてもポケモンGOのリリースによる影響はみられなかったとしている。
「有力ゲームの売上の大部分はそれぞれのゲームのコアなファンから来ている。こうしたファンが複数のゲームに熱中することはまずない。そのため、全体としては〔ポケモンGOの影響が見られないのは〕不思議ではない」とApp Annieは結論している。
もうひとつ注目すべき統計はアメリカ市場におけるポケモンGOの利用時間と利用回数がAndroidアプリをリリースして以來のFacebookを抜いたという点だ。App Annieでは「ポケモンGOはモバイル外の時間を利用している可能性がある」と述べている。つまりユーザーはショッピングしたり犬を散歩させたりしながらアプリを開いているのではないかということだ。
長期的な影響については、ポケモンGOが他のデベロッパーにゲームに拡張現実を取り入れさせるきっかけになるかもしれないとApp Annieは見ている。もちろんポケモンGOのレベルでこれを達成することは不可能だろう。ポケモンGOのベースになったIngressについて開発元のNianticは何年にもわたって膨大な数のユーザーからのフィードバックを収集しているとApp Annieは指摘している。
そうであっても、デベロッパーはARを用いてゲームに近隣のビジネスを取り入れることができる。こうしたビジネスのオーナーは徒歩の顧客数を増加させることに対して料金を支払う可能性が高い。またビジネス自身がアプリ内でバーチャル宝探しなどのアトラクションをホストすることも十分考えられる。実際これはSearsがアプリ内ですでに実験しているところだ。
現在のアプリのエコシステムでは、新しいアプリが発見され、ユーザーを獲得することがますます困難になっている。 ポケモンGOの長期的影響でもっとも重要なのは、オンラインとオフラインの融合によって新しい収入源が発見される可能性をデベロッパーに示したことにあるかもしれない。
画像: KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)