Microsoftは、昨年限定プレビュー版を公開したSlackのライバルとなるコラボレーション&コミュニケーション・プラットフォームのTeamsを、Office 365の月間アクティブユーザー8500万人に向けて公開した。Office 365はMicrosoftのクラウドサービス群で、ウェブアプリおよびWindows、iOS、Androidのネイティブアプリとして提供されている。
今回の公開に合わせてMicrosoftはAsana、Zendesk、Hootsuiteを始めとするサードパーティーサービス150種との統合、およびチャット(人間あるいはロボット相手)、セキュリティサービス、カスタマイズオプションなどの新機能を発表した。
(TeamsがOffice 365エコシステム以外にも拡大されるのかどうかについて言及はない。「それについては検討したが、現時点ではわれわれの巨大ユーザー基盤に集中している」とMicrosoft TeamsのUX責任者、Mira Laneは言った)
公開範囲の拡大は、これまでのテストでそれなりの成功を収めてきた結果だ。Microsoftによると、Teamsプレビュー版には約5万社が登録してサービスを試用した。
プレビューのユーザーのうち、使い続けている会社がどれだけいるかについて、Microsoftは「多くの会社が」としか言っていない(同社は、Accenture、Alaska Airlines、Conoco Phillips、Deloitte、Expedia、J.B. Hunt、J.Walter Thompson、Hendrick Motorsports、Trek Bicycle、Three UKの名前を挙げた)
華々しく成長を続けるSlackをはじめ、FacebookのWorkplace、AtlassianのHipchatなどのライバルがひしめくこの分野で、Teamsの出遅れを指摘する向きもある。
Microsoftにとって有利なのはスムーズな導入だ。対象のユーザーはすでにExcel、Word、PowerPoint、OneNote、SharePoint、Power BI などのMicrosoftアプリを使っているので親しみやすく利便性も高い。しかも無料で試すことができる。
昨年11月にMicrosoftがこのサービスを披露した時にも指摘したが、Teamsは初めから非常に多くの機能をユーザーに提供している。WordかExcelを使ったことのある人なら、これを非常にMicrosoftらしいアプローチだと感じるだろう。
基本的インターフェースは、既存のコラボレーションツールから想像できる通りで、左カラムにディスカッショングループが並び、右に会話が表示されている。
Microsoftはこの中に実に様々なオプションを追加している。ダイレクトチャット、音声およびビデオ通話、スプレッドシートその他の文書の呼び出し、アナリティクスの実行などに加え、”evergreen”(常時表示)コンテンツのための場所も用意されている。
さらに、Microsoftはチャットボットのフレームワークを作っており、当初これはTeamsを使いやすくするためのものだと言っていたが、いずれはSlackやMessengerなどのチャットサービスと同じく、サードパーティーの様々なサービスを統合していくことになるだろう。
「オープンで透明であることが前提の近代的ワーキングスタイルへの移行は、ワンサイズでは足りない、という当社の基本的哲学の一環だ」とLaneはインタビューで語った。「ビジネスや協業のやり方は組織ごとに違う。例えば、CEOが全社に向かって話すときはYammer、もっと密なコラボレーションではMicrosoft Teamsという風に複数のツールを使う会社もある。流動的であるのは悪くないことだと考えている」
Microsoftはあまりに多くのオプションを提供しすぎているという懸念があると同時に、ユーザーを乗り換えさせるためにこれで十分なのかという疑問もある。
これはMicrosoft Teamsを他社製品と比較した場合の問題に限らない。Microsoft自身を見ても、Yammer、Skype などコミュニケーションとコラボレーションのためのツールはいくつもある。
すでにリードしているサービスもあるが(現在Slackのデイリーアクティブ・ユーザーは500万人、有料アカウントは150万件)世界にはまだ何百万という企業があることを考えれば、戦う場所も勝つチャンスもいくらでも残っている。「今はみんながあらゆるサービスを試していて、企業で使えるグレードのものを探しているところだ」とLaneは語った。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)