マイクロソフトのマルチクラウドプラットフォームAzure Arcが機械学習のワークロードに対応

Microsoft(マイクロソフト)はコンテナのクラスターがどこでホストされているかに関わらずあらゆるKubernetes環境でAzureを実行できるサービスをAzure Arcで提供している。Arcは登場当初から幅広いユースケースに対応していたが、サービス開始時には残念ながら対応していない機能があった。それが機械学習だ。しかしArcのようなツールの利点の1つは企業がデータに関するワークロードを実行できることであり、それは現在ではそのデータを使って機械学習モデルをトレーニングするという意味であることが少なくない。

米国時間3月2日、Microsoft IgniteカンファレンスでMicrosoftは、Azure Machine LearningをArc対応のデータサービスに追加することでまさにこの機能をAzure Arcで利用できるようになると発表した。

AzureのGMであるArpan Shah(アルパン・シャー)氏は同日の発表で「機械学習の機能をハイブリッドやマルチクラウドの環境に拡大することにより、お客様は既存のインフラストラクチャへの投資を生かしつつ、データのある場所でトレーニングモデルを実行できます。データの移動やネットワークの遅延が減り、セキュリティやコンプライアンスの要件を満たすこともできます」と記した。

この新機能はArcの利用者にすでに公開されている。

Arcに機械学習機能が追加されたことに加え、MicrosoftはAzure Arc対応KubernetesがGAになったことも発表した。これによりユーザーは標準的なKubernetesの構成をあらゆる場所にあるクラスターにデプロイできる。

Azureのハイブリッドサービスの世界で新しい点としては、Azure Stack HCI上でのAzure Kubernetes Serviceのサポートがある。解説すると、Azure Stack HCIは顧客のデータセンター内にある標準化されたハイパーコンバージドなハードウェアセット上でAzureを実行するマイクロソフトのプラットフォームだ。このアイデア自体はAzure Arcより前からあるものだが、自社データセンター内でAzureを実行したい企業にとっては今でも妥当な代替策で、DellやLenovo、HPE、富士通、DataOnなどのベンダーがサポートを継続している。

Arcのオープンソースの面では、MicrosoftはArcがCNCF(Cloud Native Computing Foundation)の標準に適合するあらゆるKubernetesディストリビューションと連携して動作するように構築され、RedHat、Canonical、Rancherそして現在ではNutanixと連携してAzure Arc上でKubernetesの実装に関してテストと検証を実施していると強調した。

Microsoft Ignite 2021

カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Akio Kon/Bloomberg / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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