メンタルヘルスのスタートアップeQuooのアプリが英国国保公認に

英国を拠点とするメンタルヘルスのスタートアップeQuooは、英国のNHS(National Health Service=国民健康保険)アプリライブラリに、ゲームとして唯一登録された。シード資金調達ラウンドも間もなく完了する予定だ。このアプリは、健康的な心理スキルを教えることを目的とした感情フィットネスのためのゲームとなっている。

今回のNHSの発表は、英国の医師が、患者の精神的健康と幸福感を増進するためにeQuooを正式に紹介できるようになったことを意味する。

また、このアプリは健康関連のアプリを評価する主導的なプラットフォーム、ORCHAで最高の評価を獲得した。さらに、ドイツ最大の保険会社、Barmer(バールメール)などのクライアントも獲得している。

創立者でCEOのSilja Litvin(シリア・リトビン)氏は、メンタルヘルスの危機に対処するために、このスタートアップを立ち上げたと言う。「摂食障害や気分障害を持った人に対応するため、NHSトラストで働いていました。その際、若いクライアントの多くが、たった6回のセッションのために、数カ月も待たなければならないという事実に落胆していました。心理学者を自由に増やすことはできませんが、アプリならいくらでも配布できます。そこで、アプリを作ることにしたのです。エビデンスに基づいて鬱に対処するアプリ、PsycAppsを開発した後、メンタルヘルスアプリは、最初の1週間で最大90%の人が脱落してしまうものだということを手痛い経験として学びました。そこでeQuooを立ち上げて、ゲームにすることに方向転換したのです。カジュアルゲームは、メンタルヘルスの増進に有効で、本質的にプレイヤーを引き付ける力があります」

NHSの広報担当者は「イギリス全土の約58%の一般開業医は、すでにEMISアプリライブラリに登録されたeQuooを、直接患者に紹介できます。EMISアプリライブラリは、IQVIAのAppScript®プラットフォームによって運営されています。それにより、EMIS Web臨床システムのユーザーとなっている臨床医は、既存のワークフローを利用して、高品質のデジタル健康アプリを見つけ、テキストメッセージやメールで直接患者に推奨できます。そのプラットフォームにリストされているすべてのアプリ(eQuooを含む)は、NHS DigitalのDAQ(デジタル評価基準)によって、臨床安全性、データ保護、セキュリティ、使いやすさに関して評価済となっています」と述べている。

2019年初め、eQuooはBosch UK(ボッシュUK)と協力して、350人以上の参加者を集めて5週間の無作為対照化された「3群試験」を実施した。それにより、アプリの科学的裏付けも認められた。これは、人気の高いメンタルヘルスチャットボットのスタートアップ、Woebot(ウォボット)が、70人の参加者を対象に、わずか2週間の試験を実施したのと対照的だ。

その結果、5週間にわたってアプリを使用した場合、「統計的に有意な幸福感指標の増加」と不安感の大幅な減少が認められた。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。