モバイルアプリからのディープリンクをWebのようにスムーズにするBranch Metricsが$3Mを調達

今日のモバイルアプリが抱える深刻な問題を解決しようとする、パロアルトのBranch Metricsが、NEAなどから300万ドルを調達した。同社が考案した高度な“ディープリンク”技術を利用すると、アプリ内からのコンテンツ共有機能が強力になり、リンクからほかの人にアプリをインストールさせる、などのことができるようになる。

現状の標準のディープリンク機能はユーザがアプリをすでにインストールしているときのみ有効だが、Branch Metricsでは、リンクが最初にクリックされたときアプリがインストールされていなくても、ユーザを最終的に正しい場所へ導く。

Branch Metricsの技術はアプリのデベロッパやマーケターたちがいち早くその利点を理解しただけでなく、投資家たちも着目するようになった。同社はそれらの中から、タームシートを3日かけて検討した結果、NEAを選んだ。

今回の投資には、Mar Hershenson(Pejman Mar Ventures)やBen Narasin(TriplePoint Capital)などのエンジェル投資家たちも参加した。NEAのScott SandellとForest Baskettが今後、Branch Metricsの経営に加わる。

フォトブックからディープリンクへ

Branch Metricsの前身Kindred Printsは、フォトブック(写真アルバム)を作ってそれをプリントしたり友だちに送るモバイルアプリだった。

スタンフォード大学を卒業したAlex AustinとMike MolinetとMada Segheteが2013年の6月に作ったそのアプリは、かなりの人気作だった。AppleがApp Storeでこのアプリを数回フィーチャ(大きく紹介)したぐらいだ。しかしこのアプリを作っているときに、チームはその成長を妨げる問題に何度も遭遇した。

CEOのAustinは、こう説明する: “モバイルアプリの今のシステムには、完全にぶっ壊れている部分が少なくとも二つある。われわれを悩ませた二つは、共有(sharing)とアプリ内からのリンク先参照(referrals)だ”。

Austinはモバイルファーストの会社を作ったつもりだったので、Kindredでもユーザがその中でURLを作り、それを友だちなどと共有したり、あとから参照すると、Kindred Printsで作ったコンテンツへ行けるようにしたかった。

モバイルでは、それがうまくできない。デベロッパは、そのモバイルソフトウェアを補完するためのWebアプリケーションを作って、ユーザがクリックするとそこへ行くようにするか、それとも、従来からあるディープリンクを使ってアプリ内で特定のページを指すしかない(あらかじめアプリが必要)。

今日のスマートディープリンクは、使用しているデバイス(デスクトップかモバイル化)を見分けたり、ユーザの携帯にそのアプリがインストールされているかいないかを見分けてから、ユーザを適切に導く。

しかしモバイルのディープリンクは、ほかのユーザがそのアプリを自分の携帯にインストールしていないと有効でない。インストールしてないユーザがディープリンクをクリックすると、App StoreやGoogle Playへ連れて行かれてアプリのダウンロードを強制される。しかし、それをやられるとユーザは、最初関心を持っていたコンテンツへの興味を、失ってしまう。しかもそのアプリをダウンロードすると、目的のコンテンツではなく、サインアップ画面が出るだけだ。我慢してサインアップした人は、今度は自力でその共有コンテンツを探さなければならない。

Branch Metricsは、そんな状況を変えた。

Branch Metricsのリンクは違う

“新たに完全なWebサイトを作らなければアプリ内のコンテンツにリンクできない、という事実はものすごくショックだった”、とAustinは言う。.

そこでチームは、もっとインテリジェントなディープリンクを作ろう、と考えた。これまでのモバイルアプリは、一つ一つが孤立したサイロになってしまっているが、そうではなく、ユーザがWebとまったく同じように、いろんなアプリやコンテンツをたどっていけるようにしたい。

ディープリンクに関してはAppleやGoogle、Facebook、Twitterなどの大手企業も、相互運用性の向上のために、いろいろ工夫をしている。Googleのモバイル検索ではリンクをクリックするとユーザの携帯上のアプリが開く。AppleのユーザはディープリンクとiOS 8の拡張機能で複数のアプリ間を移動できる。

しかしBranch Metricsでは、共有リンクをクリックしたユーザがそのアプリをインストールしていなかったら、Google PlayやApple App Storeからそのアプリをダウンロードし、アプリを立ち上げたら即、目的のコンテンツへ導かれる。

このマジックを実現するためにBranch Metricsは、通常のディープリンク技術と、有料アプリをインストールするとき使われるユーザマッチング技術を併用している。後者の技術は、クリックされたリンクや、デバイスを特定するデータなど、ブラウザが集めた情報からユーザのマッチングを行う。

共有リンクとそこからの参照

この二者の組み合わせは、友だちに自分が作ったコンテンツを見せる行為を、メールやSMSでアプリのダウンロードをわざわざお願いしていたこれまでと違って、簡単にするだけでなく、これによってデベロッパはモバイル上の新しい参照システムを作れる。つまり、ユーザのアカウントに恒久的に結びついているようなカスタムURLを、アプリからもらうことができるのだ。面倒な、‘お友だちをご招待’のコードは、もはや要らない。友だちには、URLを一つ与えるだけでよい。

それだけでなく、その友だちだけのための、カスタムのアプリ内ナビゲーションも作れる。その途中には、その友だちに宛てたメッセージ(送り主の署名あり)があったり、マーケティング目的では、特別のディスカウントやクレジット(金券サービス)があったりするだろう。

またBranch Metricsの“ログインリンク”を利用すると、ログイン画面を省略して目的のコンテンツへ直接行かせることもできる。これも、上記のユーザマッチングを利用した技術だ。

Branch Metricsのダッシュボード(有料化を予定)を利用すると、誰がどんだけ共有しているか、コンバージョンレートはどうか、ヴァイラルの程度を表すkファクターなど、ユーザ情報を一覧できる。

“グロウスハッカーのプロダクト版だね”、とAustinは説明する。

ローンチしたのは12週間前だが、すでにBranch Metricsを利用してアプリを作ったデベロッパは30名、作り中のデベロッパが同じく30名いる。彼らのデバイスの総台数は2500万台だ。リンクのサービスだけなら無料だが、ダッシュボードは今後有料化を予定している。

Branch Metricsが今は同社の主力プロダクトで、Kindredフォトブックは近く新しいお家(うち)を見つけるだろう。

iOSとAndroid用のSDKはここでダウンロードできる。Webにアプリのリンクのバナーを貼れるWeb向けSDKが、一週間後にリリースされる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))