モバイルアプリを直接スマホ上で作成できるiOSネイティブ製品デザインツール「Play」

モバイル環境向けのデザインを行う際、従来の方法では、開発者が1つのプログラムでデザインを行い、別のプログラムでプロトタイプを作成し、さらに別のツールでコラボレーションを行うというように、多くのやりとりが必要だった。

新しいスタートアップの「Play」は、自らを「スマートフォンから直接作成、イテレーション、コラボレーションすることを可能にする唯一のiOSネイティブ製品デザインツール」と位置づけている。従来のソフトウェアでは、同じようなことをするために回避策やハックを要求されると、同社の共同設立者で共同CEOのDan LaCivita(ダン・ラチヴィータ)氏は説明する。

「これは、携帯電話を主な入力デバイスとして使用する唯一のデザインツールです」と同氏はTechCrunchに語った。「スマホからデザイン、プロトタイプ、コラボレーションを行うことができ、プロダクトデザイナーが使用しているメディア上で作成中のデザインを体験する方法を提供する唯一のものです。基本的にコーディングをしなくても、Apple(アップル)のサンドボックスで遊ぶことができます」。

ユーザーは、ゼロから作成するか、Figmaなどのツールからデザインをインポートするかを選ぶことができ、ボタン、カード、ビデオプレーヤーなどの一般的なUIコンポーネントには「Play Library」を、完全に機能するページを素早くカスタマイズして作成するには「Page Layouts」を使用する。また、ライブマップ、AR(拡張現実)、カメラ機能など、iOSのネイティブ機能も利用できる。

ラチヴィータ氏は2019年に、Eric Eng(エリック・エン)氏、Joon Park(ジュン・パーク)氏、Michael Ferdman(マイケル・フェルドマン)氏と一緒に会社を立ち上げた。彼らは全員、前身のFirstbornというスタートアップで一緒に働き、ウェブサイトやモバイル製品を作っていた。

「私たちは、すべてのペインポイント(問題点)を身をもって経験しました」 とラチヴィータ氏はいう。「ジュン(・パーク)が『もっと良い方法があるはずだ』と言ったんです。我々は従来のグラフィックデザインソフトウェアをベースにして開発を続けているのだから、別のツールではなく、入力デバイスとして携帯電話のような別のアプローチが必要なんだ、と」。

PlayはApp Storeで公開されているが、現在はプライベートベータ版で、2万5000人以上がウェイティングリストに登録している。今後数カ月から来年にかけてユーザーを追加していく予定だ。今はフリーミアムモデルだが、2022年にはいくつか異なる価格帯を提供する予定とのこと。

米国時間11月1日、同社はFirst Round Capitalが主導し、Oceans Venturesを含む910万ドル(約10億4000万円)の資金調達を発表した。本ラウンドは、2021年初めと2020年のシードラウンドを組み合わせたものだ。

今回の資金調達は、チームの規模拡大と、2週間前に発表したPlay for iPadのような、顧客からの直接の要望による新製品の開発継続のために使用される。また、最近では、ユーザーが互いにコラボレーションするためのTeams機能も発表した。

創業者たちがFirst Round CapitalのTodd Jackson(トッド・ジャクソン)氏と最初に会ったとき、彼らは資金調達を考えていなかったが「意気投合して関係がうまくいった」とラチヴィータ氏はいう。ベンチャーキャピタリストとしてではなく、チームメイトとして協力してくれるパートナーを見つけたのだ。

ジャクソン氏は、Twitter(ツイッター)でPlayを見つけて興味を持ったという。同氏は、Dropbox(ドロップボックス)やFacebook(フェイスブック)で、同じようなユーザビリティの問題を抱えるデザイナーたちと仕事をしていた。

彼は、デスクトップでしか利用できないツールで長い時間を費やしデザインを構築したり、アニメーションを追加したりしていた友人らにPlayを送った。

「スマートフォンでここまでできるとは思いませんでした」と彼はいう。「1つのことをするのに、1つのデザインツールしかないというメンタルモデルで我々はものを考えがちです。よく、モバイル製品のアイデアの多くは、誰かと共有できないために日の目を見ないという話をします。Playがあれば、そのような状況に陥ることはありません」。

画像クレジット:Play

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。