位置情報連動型ゲーム「ステーションメモリーズ!(駅メモ!)」などで知られるモバイルファクトリーは7月25日、ブロックチェーン関連事業本格化にあたり新会社、「ビットファクトリー」を設立すると発表した。代表取締役はモバイルファクトリー代表取締役の宮嶌裕二氏が務める予定だ。
新会社ビットファクトリーはDapps(分散型アプリケーション)の普及を目指しており、そのプロジェクトを「Uniqys(ユニキス)Project」と呼んでいる。手軽にDappsで遊べるモバイルユーザー向けサービス「Quragé(クラゲ)」と、手軽にDapps開発が可能となるデベロッパー向けサービス「Uniqys Kit」を包括する「Uniqys Network」を構想している。
新会社設立の発表と同時に、プロジェクト第一弾となるウォレット機能付きモバイルDappsブラウザQuragéのAndroid版を同日にリリース。iPhoneユーザーは年内には同サービスが使えるようになるという。また、Dapps紹介メディア「Quragé Magazine」も同日にリリースされ、Uniqys Kitの開発者向けプレビュー版もGitHub上で公開された。
Uniqys Kitは2018年の冬にベータ版を公開予定。2019年には正式リリースを目指している。同ツール上では一般的なWebアプリと同様に作りやすい言語でDapps開発が可能となり、トランザクション手数料やブロック報酬を無料、定額も含めて自由に選択できるようになる。また、Ether(ETH)またはデベロッパーによる独自トークンを流通させることも可能になるという。
同社は「ゲーム事業に留まらず、SNSやシェアリングエコノミーなど、多くのサービスがDappsに置き換えられていく力を秘めている」と感じている。だが、「日本発のDappsはまだまだ少ないのが現状」のため、「そのような次世代のインターネットとも言うべき可能性を秘めたDappsを普及するため、Dappsを身近に、そして、容易に開発できる環境を提供すべくUniqys Projectを発足した」と説明している。
モバイルファクトリー代表取締役の宮嶌裕二氏は、ブロックチェーンを「次世代のインターネットのようなものだと思った」と説明。だが、「イーサリアム(をはじめとしたブロックチェーンプラットフォーム)は数年後、もう1つのインターネットになる」と期待している一方、現状のままでは「一般には普及しない」とも説明した。
新会社の設立以前、モバイルファクトリーがブロックチェーン関連サービスの開発に着手した当初、ゲーム分野での進出を構想していた。だが、イーサリアムに代表されるブロックチェーンプラットフォーム上に先行してリリースされている複数のゲームを研究した結果、トランザクションの手数料が高かったり、モバイル環境での動作が想定されていないゲームが大半であったり、といった課題があることがわかったという。また、デベロッパーにとってもイーサリアムのままでは作りにくい、というところがもう1つの課題だと話した。
その課題を解決するためのソリューションがQuragéとUniqys Kitだ。
取材中、宮嶌氏は「企業がこぞってホームページを提供しはじめた、20年前を思い出して欲しい」と繰り返した。「それから数年をかけて会社概要を掲載したホームページだけでなくユーザーとの重要な接点としてインターネットがECなどに活用されるようになった。当時と同じように、これから2~3年内に多くの企業がユーザー接点のひとつとして分散型アプリを当たり前に提供するようになり、ある程度のユーザーを持つ企業は、独自トークンを発行しはじめる世界がやってくる」(宮嶌氏)
新会社ビットファクトリーに関しても、Uniqys Network内で使える独自トークンを構想中だという。
Global Informationの「ブロックチェーン技術の世界市場予測2022年」によると、世界のブロックチェーン技術の市場規模は、2017年の4億1150万米ドルから2022年までに76億8730万米ドルへ拡大すると予測されている。また、IDC Japanの「2017年国内ブロックチェーン関連ソリューション市場ビジネス動向:分散アプリケーションプラットフォームの可能性」は、内におけるブロックチェーン関連ソリューション市場は、2016年〜2021年の年間平均成⻑率133.0%、2021年市場規模は298億円と予測している。
今後もUniqysをはじめとする新たなブロックチェーン関連サービスに注目したい。