モバイル時代の英語教育サービスを目指し、東京でサービスインを準備中のOKpanda

モバイル時代となり、外国語学習はどこにいてもできるようになり、また外出先で見つけた気になる外国語を翻訳するサービスなども数多く登場してきている。メジャーなDuolingoをはじめ、英語やドイツ語、あるいはロマンス語系を学ぶためのサービスが非常に多く登場してきている。しかしそのような中、学習者としてアジアや、とくに日本をメインターゲットとしたサービスというのはほとんど見当たらない。

そこにビジネスチャンスを見つけようとするのがOKpandaだ。シリアル・アントレプレナー兼アプリケーション開発者であるAdam Griesと、マルチプレイヤーゲーム系スタートアップのPlayerDuelの共同ファウンダー兼CTOだったNir Markusが設立した。アジア圏での英語学習サービスを提供しようと考えており、日本を最初のターゲットとして位置付けている。

事業展開のため、OKpandaはResolute Venturesが主導し、Innovation Endeavors、Kapor Capital、そして500 Startupsなども参加したラウンドで140万ドルの資金を調達している。尚、Karma、TapjoyのファウンダーであるLee Lindenや、APAX Asiaの前チェアマンだったMax Burger、ProdcteevのファウンダーであるIlan Abehassera、そしてMafia Warsの共同ファウンダーであるRoger Dickeyなど、数多くのエンジェル投資家も出資している。

もちろん、日本市場でのサービス展開を目指すのはOKpandaが最初というわけではない。しかし日本にはまだまだ掘り起こされていない市場価値があるはずだというのがOKpandaの考えだ。たとえばGriesは、たいていのサービスでは現代の口語英語による会話レッスンに力を入れていないと分析している。すなわち、英語を「学んだ」人でなく、ネイティブの使う英語表現などの部分で、まだまだサービスを提供する余地があると考えているわけだ。

また、アジアにおけるさまざまな市場条件も、新規参入を支援するものと考えることができるのだそうだ。たとえば日本はアジア最大規模の語学学習マーケット(首位の中国に僅かな差で2位)で、語学学習の市場規模は50億ドルほどとなっている。ここには電子辞書やテスト準備のためのデバイス類は含まれておらず、これを入れればほぼ80億ドルの市場規模になっている。

さらに、多国籍展開を目指す楽天やユニクロなどのトップ企業が、英語を公用語として用い始めていることも、英語学習熱を更に高める効果があるとふんでいる。ビジネスの世界において、英語が「標準言語」としての地位を高めつつあるわけだ。日本の企業の多くが、グローバルマーケットに打って出て成長を成し遂げようとしている。しかし日本では英語を苦手だと考える人も多い。そこに大きなチャンスがあるのだとGriesは述べている。

OKpandaのアプリケーションはまだリリースされておらず、Griesの話では12月までにはリリースしたいという考えであるそうだ。最初はまずiPhone版を展開していく。ちなみにこれまでは44%のシェアを握るNTT DocomoがiPhoneを扱っていなかった。しかし最近になってiPhoneの取り扱いを開始した(但し、Docomo自体は苦戦しているようではある)。これによって、日本でもiPhoneがさらに普及していくと考えられ、これまたOKpandaにとっての追い風だと言えるのかもしれない。

先にも述べたように、日本人はこれまでに膨大な金額を英語教育のために使ってきた。しかし英語が得意な国民というわけではなく、2012年におけるTOEFLの結果では、スピーキング能力はアジア内で下から3番めというランキングになっている。Gries曰く、こういう状況も見据えて、OKpandaではまずリスニングとスピーキングに重点をおいていくことにしているのだという。そしてそれこそが、アジア諸国における「主要ニーズ」(key needs)であると意識しているのだとのこと。

学習には、いつも手元に持ち歩いているスマートフォンを使う。数多くのアバターと、現実的なシチュエーションを想定した「会話」を行っていくことで、英語の学習を進めていくことになる。これにより何十万もの英語の自然な言い回しを身につけていこうという狙いだ。

OKpandaの拠点はニューヨークにある。しかし東京オフィスも準備した。東京でのサービスインを控え、これからしばらくはほとんどのメンバーが東京で活動することになるそうだ。12月までにまず日本向けの英語学習モバイル教材をリリースし、それからアジア各国に展開していく考えだ。ビジネス展開を見据えつつ、2014年ないし2015年のアジア各国展開を目指している。

世界には20億の英語学習者がいて、また500 StartupsのDave McClureが言うように「英語が世界の事実上の標準言語となっていて、みんなのポケットにはモバイルデバイスが入っている」と言っていた。「英語」と「モバイル」、そして「教育」の親和性は高いはずなのだ。

OKpandaは、まず楽しく、かつ簡単な英語学習プログラムの提供を目指している。なかなか成果の出ない英語学習を続けさせられてきた日本人に「楽しく」、そして「簡単な」方法を提供しようと考えているのだ。

効率的で魅力的なサービスを展開するため、OKpandaは優秀な人材をアドバイザリーボードのメンバーとして確保するためにも獲得資金を活用している。たとえばHarvard English Teachers’ Programの元Associate DirectorであるKaren Price教授や、LearnistのファウンダーであるFarbood Nivi、そしてFarmvilleおよびRed Hot Labsの共同ファウンダーであるAmitt Mahajanなどの名前も見える。

興味のある人はOKpandaのホームページにてメンバー登録をしておくことができる。登録したメールアドレスにサービス開始時期などの情報が届くようになるわけだ。

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(翻訳:Maeda, H


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TechCrunch Japan

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