12億ドルの超大型調達をはじめとして、最近何かと話題に上がる「Uber」。そのビジネスの話は置いておいて、実際にユーザーとして使ってみると分かることがある。降車の際にいちいち財布からお金を出して会計しなくとも、そのまま車を出て、あらかじめ登録しておいたクレジットカードで自動で決済できるという快適さだ。僕もまだ2度ほどしか使っていないが、想像以上に使い心地がいい。
そんな快適な経験をレストランでも味わえるようになるのが、ポケットメニューが手がけるレストラン予約サービス「ポケットコンシェルジュ」の新機能「ポケットエクスペリエンス」だ。
ポケットコンシェルジュは、会食や接待などにも使える厳選されたレストランを予約できるサービスだ。現在は東京を中心に150店舗ほどのレストランが登録されており、客単価は1万3000円程度。1年前の時点では高所得者層を中心に約1万人が利用していると話していたが、現在のユーザー数に関しては詳細は公開していない。
実際僕も利用したことがあるが、通常紹介がないと入れないようなところも含めて、ポケットコンシェルジュでないとオンライン予約できないようなレストランが中心となってラインアップされている。店舗数こそまだ少ないがそのグレードは既存のレストラン予約サービスとは一線を画している。また、会食での利用を想定していることもあって、レストランへの要望や利用用途なども登録できるようになっている。
今回発表されたポケットエクスペリエンスだが、あらかじめクレジットカードを登録して、予約の際にカードでの支払いを選択しておけば、当日レストランで会計をすることなく、自動でカード決済されるというもの。会計の内容は会計後にメールで送信される。ユーザーのサービス利用は無料。ポケットメニューは店舗側への手数料と、カード会社への手数料の差額で収益を上げるモデルとなる。
お酒の追加などで金額が変わることもあるため、基本的にはコース料理とペアリング(コースのひと皿ごとに合ったお酒を提供する)、コース料理とドリンク1杯のセットといったようなパッケージを店舗が用意し、追加注文については加算して決済するという仕組みにする。1ユーザーが登録できるカードは5枚となっており、法人カードと個人カードを登録して使い分けることもできる。
店舗にも大きなメリット
このポケットエクスペリエンス、ユーザーにとっては会食での話の腰を折らずにスムーズな会計を実現できるというメリットがすぐに想像できると思うが(デートなどでおごる際にも有効ではないかという話も出たが)、実はそれ以上に大きいのは店舗側のメリットだそうだ。
ポケットメニュー代表取締役社長の戸門慶氏は6年間板前として修業をしたのち、飲食店のコンサルティングを手がけていた人物。同氏の話によると、実は会計のたびにスタッフが伝票を取ってレジに移動して…という作業はいつ発生するか分からず、なかなか面倒なモノだそうだ。それがポケットコンシェルジュの管理画面1つで、しかも多少の時間差はあっても処理できるようになるのは、ユーザー以上にありがたい話なのだそうだ。
現時点でポケットエクスペリエンスに対応するのは全レストランのうち15店舗ほど。同社ではこれを月内にも30店舗程度まで拡大し、最終的には全店舗への導入を目指すとしている。またこれにあわせて、7月末にもポケットコンシェルジュの有料会員モデルをやめ、無料利用、決済手数料でのマネタイズというビジネスモデルに移行するとしている。今秋にはスマートフォンアプリも提供予定だ。