Alphabet(アルファベット)の、かつてGoogle Xと呼ばれていた子会社、X(エックス)は、野心的な“新たな挑戦”に取り組むことを専業としている。商品開発ではなく、SFの話だと思われそうなテクノロジーの応用方法の研究だ。そのひとつに、オフィスのゴミを分別するロボットがある。
エックスは他のアルファベットの子会社とは違い、何をしているかを、ある程度進展するまでは公言しない。そんなエックスが、「この数年間」頑張ってきたEveryday Robot Project(日常ロボットプロジェクト)がそのレベルに達したと発表した。プロジェクトリーダーのHans Peter Brondmo(ハンス・ピーター・ブロンドモー)氏は、11月22日のMediumの記事でそれを語り、このプロジェクトの意味や、何を目指しているのかを説明した。
ブロンドモー氏は現在のロボティクスを、実用化はされているが、専門教育を受けた決められたコンピューター・オペレーターが、特別な場所で専門的な目的のためだけに使えるものだった1950年代から60年代のコンピューターとを比較している。そこで彼らの挑戦だが、コンピューターの時代と同じように、ロボットの時代を招こうというものだ。言い換えれば、普通の人たちが日常的にロボットと暮らし関われる世界を築こうとしている。
それは、みなさんが思う以上に平凡で複雑なチャレンジだ。ロボットは、私たちが日常的で当たり前と感じているものすべてを備えなければならない。周りを人々が歩き回ったり、あるときは角に置かれていたゴミ箱が翌日は消えていたり、家具があちらこちらに移動したり、気象条件が変化したりと、日常生活で私たちがまったく当たり前であり、それでいて毎日の予測が難しいあらゆる物事だ。ロボットは、特定性と正確性が高い仕事を得意とする。とくにプログラミングにおいてはそれが顕著だ。
日常ロボットプロジェクトは、それを踏まえ、実際の人間が日常生活で本当に便利だと感じるロボットを作ろうと即座に決意した。その鍵となったのが、「プログラムすること」ではなく「教えること」だとブロンドモー氏は言う。つまり、Google AIのチームと共に、まずは研究室で、次に外の世界で研究を進めているということだ。そして今回、その段階に達したロボットの詳細が発表された。エックスのオフィスで出たゴミを分別をするロボットだ。
このロボットは、シミュレーションや強化学習など、さまざまな技法で訓練され、実際に廃棄物汚染の度合いを、およそ20パーセントから5パーセント未満にまで低減することができた(たとえば、所定のゴミ箱に間違ったゴミを入れてしまったら、そのゴミ箱の中身全体がリサイクルされることなく埋め立てられてしまう)。公的機関からグリーンな職場と認定されたビルで働いたことのある人なら、全般的な影響力として、どれほど素晴らしいことかわかるだろう。
大きなオフィスから出たリサイクルゴミが埋め立てに回されてしまう量を減らせることとは別に、今回の成果によって、ほぼすべての人にロボットを日常化するといエックスの究極の目標が実現可能であることが証明された。私たちが毎日持ち歩いているスマートフォンを一般化されたコンピューターの姿とするなら、ロボットがごく当たり前の相棒になる日までにはまだ遠い道のりがあるものの、その方向に一歩踏み出したと言える。
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(翻訳:金井哲夫)