世界初の遺伝子を編集された人間の赤ちゃんという中国生まれのニュースは、月曜日(米国時間11/26)にMIT Technology ReviewとAssociated Press(AP通信社)がそのプロジェクトを報じて以降、大騒動になってしまった。とくに中国の外にいる人びとは、その先端的科学の倫理的含意を激しく疑問視した。それは、深圳の大学の中国人研究者Jiankui Heのプロジェクトだ。
この話には、もうひとつの側面がある。
AP通信によると、Heは深圳の病院Shenzhen HarMoniCare Women’s and Children’s Hospitalにそのプロジェクトの開始を承認された。MIT Technology Reviewの記事には、HarMoniCareの医療倫理委員会からHeの研究が承認されたことを述べている文書のリンクがある。
しかし本誌TechCrunchの取材に対してHarMoniCareのスポークスパーソンは、Heの遺伝子テストについては何も知らなかったし、病院は今広まっている文書の正当性を調査している、と言った。これに関し、今後新たな展開があればこの記事を更新したい。
病院のスポークスパーソンはHeのプロジェクトについてこう言った: “確実に言えることとして、遺伝子の編集は当医院で行われていない。赤ちゃんが生まれた場所も、当医院ではない”。
アメリカのライス大学とスタンフォード大学で学んだHeは、深圳のSouthern University of Science and Technology(南方科技大学)で研究チームを率い、MIT Technology Reviewによると、そのチームは遺伝子編集ツールCRISPRを使って、HIVや天然痘、およびコレラに結びついている遺伝子を排除することに取り組んだ。胎児の遺伝子を変えると、その変更は今後の世代にも伝わっていくので、倫理的に危険である。Heの向こう見ずな先走りは、近く香港で行われHeも出席するSecond International Summit on Human Genome Editing(人の遺伝子編集に関する第二回国際サミット)で議論される。
もうひとつ注目すべきは、HarMoniCareが福建省莆田(Putian)から広がった約8000の民間ヘルスケアプロバイダーの広大なネットワーク、莆田ネットワークに属していることだ。ヘルスケアのプロフェショナルのための中国のオンラインコミュニティDXY.cnが作ったリストでは、そうなっている。莆田の病院群はここ数年で中国全土に急速に拡大し、大学生の死亡事故があるまではほとんど政府の監督下になかった。2016年のその事故では21歳のWei Zexiが、莆田の病院でいかがわしい治療を受けたあと、癌で死亡した。またその事故は、中国最大の検索エンジンBaiduに対する激しい抗議を呼び起こした。Baidu上のオンライン広告の、大型広告主のひとつが、莆田の病院なのだ。