ByteDanceがTikTokとDouyinを別々に上場するという噂が、数カ月前からある。米国時間11月4日のBloombergの報道ではByteDanceが、IPO前の20億ドル(約2070億円)のラウンドを、1800億ドル(約18兆6030億円)という驚異的な評価額で要求しているという。
それらがまだ何も実現していないときから、ByteDanceの中国におけるライバルであるKuaishouは、米国時間11月5日の夜に香港でIPOすることを目指して動いていた。IPO趣意書は、その成長と費用の両方が天文学的な額であることを明かしている。
2011年に元Google(グーグル)のエンジニアがGIF画像を共有するために立ち上げたKuaishouは、中国におけるTikTokの姉妹サイトDouyinの強敵に進化した。Tencentが21.5%を保有する同社は、2020年の前半に68億元(10億ドル、約1060億円)の純損失を報告し、営業損失は75億7000万元(約1180億円)に達した。対照的に同社は、2019年の同時期に11億元(約170億円)の営業利益を記録した。
赤字の原因は、KuaishouのライトバージョンであるKuaishou Expressの大規模な宣伝のためでもある。Kuaishou Expressは、中国のテクノロジーに弱い層を対象にしている。ByteDanceと違い、Kuaishouは海外での人気はあまりなく、もっぱら中国での継続的な成長に依存している。
同社のマーケティング支出は2019年前半の30億元(約470億円)から2020年前半は137億元(約2140億円)に跳ね上がった。しかしその巨額の散財は報われたようだ。その有料のゲームであるライトバージョンアプリは1年で1億DAUを獲得した。
メインのアプリであるKuaishou本体は、6月に3億200万のDAUに達し、ユーザーはビデオクリップやライブのセッションを夢中になりこのアプリで1日85分を過ごしている。一方Douyinは、1月にDAUが4億を突破している(未訳記事)。
Kuaishouは「ショートビデオのアプリ」と思われているが、実際の売上の多く2020年前半では68.5%が、ライブのストリーミングによるものだ。そこではオーディエンスがホストにバーチャルアイテムを送って、それを1元(約15.6円)から2000元(約3万1260円)で売っている。そのほか広告も重要な収益源で、売上の28%を占める。また、eコマースやゲームからの売り上げもある。
情報筋によると、Douyinは2019年の売上の約67%が広告で、ストリーミングは17%だ。
このような売上の構成は、アプリのメインのユースケースを反映している。Kuaishouは、ユーザーのエンゲージメントを自慢することが多い。実際にその7億7600万の月間ユーザーの1/4以上がクリエイターでもある。そのためKuaishouはソーシャルアプリに近くて、視聴者とクリエイターがライブのストリーミングやギフト交換を通じて頻繁に対話している。
Douyinは有料コンテンツを重視し、メディアの一種に近い。中国のベンチャーキャピタリストの一部はDouyinを、広告を見せるためのデスティネーションサイトとみなしている(知乎投稿)。
売上に関しては、Kuaishouは2019年に391億元(約6110億円)を稼いだが、それは2019年のByteDanceの約1/3だ。しかし、ByteDanceにはもう1つの収益源があることを忘れてはならない。それは、ニュースと情報の集積サービスJinri Toutiaoだ。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Kuaishou、TikTok、中国
画像クレジット:Kuaishou IPO prospectus
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)