Jack Ma(馬雲、ジャック・マー)氏はこれまでの年月の中で、米国のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏と肩を並べるほどのメディアポートフォリオを累積してきた。しかし現在、マー氏のメディア帝国の将来は、この億万長者のメディアへの影響力拡大を恐れる中国政府の標的になっている。
中国当局はAlibabaに対して、同国の世論に対する同社の強力な影響力への懸念から、Albabaのメディア資産の一部を手放すよう命令した。The Wall Street JournalとBloombergが、そのニュースソースを挙げて報道している。
Alibabaによるメディア投資は、118年前に香港で創刊された英字新聞South China Morning Postの買収を発表し、厳しい目にさらされた。中国本土では、Alibabaのフィンテック系列のAnt Groupが支援するニューヨーク上場のテクノロジニュースサイト36 Krや、Alibabaと戦略的提携を結んでいる国有のShanghai Media Groupがメディア事業を行っている。
Alibabaがアジアの有力紙South China Morning Postの株式を保有していることに批判や疑問も少なくない。こうした懸念を和らげるために、ジャック・マー氏は報道機関の編集の独立性を約束している。
他のメディア取引では、Alibabaは出版物とのデジタルコラボレーションの可能性に焦点を当てることが多い。例えば、同社はデータとクラウドコンピューティングの専門知識を活用して、影響力のある金融メディア複合企業のShanghai Media Groupが金融データプラットフォームを開発するのを支援すると約束している。
Alibabaはまた、中国のTwitterに相当するWeiboや、中国の若者の間で人気の動画サイトBilibili(Alibabaの天敵Tencentを主要株主としている)にかなりの額の出資をするなど、新しいメディア新興企業を模索している。
Weiboは2020年6月にAlibaba役員が起こした不倫事件に関する投稿を大量に削除したとして、批判を浴びた。中国のインターネット規制当局であるCyberspace Administrationは、事件を具体的に指さずに「オンラインコミュニケーションの秩序を妨害した」として非難している。
中国政府はすでに、インターネット経済における権力の集中を取り締まる動きを開始している。2020年12月、独占禁止法規制当局はAlibabaとTencentに対して、過去の買収許可を得るための報告を怠ったとして、それぞれ少額の罰金を科した。Alibabaのメディア資産のうち、どれを売却すべきかは不明だ。
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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)