世界のスマホ販売の3分の1以上が中国のメーカー3社、Huawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)、そしてOppo(オッポ)によるものだ。これらメーカーは中国のサプライチェーンのおかげでコスパの良い端末を提供して成長しているだけでなく、比較的オープンなモバイルエコシステムを享受している。ほとんどの国の消費者はGoogle(グーグル)やInstagram(インスタグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)などに自由にアクセスできる。
そうした自由は、米国・中国間のテック対立が現実のものになるにつれリスクにさらされている。テック対立はどちらの国にも悪影響を及ぼしうる。
トランプ政権の5本柱から成るClean Network(クリーンネットワーク)イニシアチブは、中国のスマホメーカーが米国のアプリをプレインストールまたはダウンロードできないようにすることを目的としている。米国の制裁によりHuaweiはすでにGoogleの主要サービスへのアクセスを失い、これにより中国外でのスマホ販売は大打撃を受けている。もしクリーンネットワークが適用されれば、OppoやVivo(ビボ)、Xiaomi、その他の中国スマホメーカーもHuaweiと同じ苦しみを味わうことになる。
中国は何年もの間、Great Firewall(グレートファイヤーウォール)が西洋のサービスを規制するなどしてインターネットを取り締まってきた。往々にして検閲の理由が明示されることない。いま、米国は中国のアプリを米国のインターネットから遠ざけようとしている。
クリーンネットワークプログラムは「米国市民のプライバシーと米国企業の最も機密性の高い情報を、中国共産党など悪意ある輩による攻撃的な侵入から守る」トランプ政権の取り組みの一環として4月に発表(米政府プレスリリース)された。
中国政府は8月6日、米国による中国テック企業への制限に断固反対すると述べ(Weibo投稿)、米国が自国のテクノロジー覇権を守るためにそうした行動に出ていると激しく非難した。
中国のソーシャルメディアでは多くの人が、トランプ政権のクリーンネットワークを、中国の日常的なサイバースペース取り締り(Weibo投稿)と比較している。中国の当局はポルノ、暴力、ギャンブル、その他の「不法」な動きを一掃する一方で、米国のものは自由なインターネットに終わりを告げるものだとしている。
規制がいつ、どのように実施されるのかは明らかではない。クリーンネットワークプログラムはまた、「信用できない」中国アプリを米国のアプリストアから排除することも目的としている。TikTok (ティクトク)の禁止はMicrosoft(マイクロソフト)による買収検討でなくなりそうだが、他の中国アプリもまた米国で大きな存在となっている。WeChat(微信)やWeibo(新浪微博)のように、多くのアプリが国外に散った中国人コミュニティをターゲットとしているが、中国企業が所有するLikee(ライキー)やZynn(ジン)のようなアプリは地元のユーザーに利用されている。
中国企業はすでに、リスクを回避している。TikTokを含む一部の企業は海外にデータセンターを設置した。また別の企業は他国に企業登録を移して米国オフィスを維持する一方で人件費の安いエンジニアを中国に擁している。全てのアプリについて、中国とつながりがあるかどうか調査するのは純粋に不可能だ。
クリーンネットワークプログラムでは、China Mobile(中国移動通信)のような通信会社は米国の通信ネットワークに接続することは許されない。これにより、中国の通信会社は中国人旅行者に米国でのローミングを提供できなくなる。
クリーンネットワークプログラムではまた、米国企業はAlibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、Baidu(バイドゥー)のような中国のクラウドサービスに情報を保存することを禁じている。中国のクラウドプロバイダーは、Tencentが米国ユーザー向けに提供しているゲームのように、自社のサービスのためにデータを保存するときを除き、米国で多くの顧客を持つことはできない。
最後に、世界と接続している米国の海底ケーブルが「中国による情報収集に利用されない」こともクリーンネットワークプログラムは求めている。
プログラムが実行されれば、広範に及ぶ制限が中国からの報復を招くのは必至だ。しかし中国政府にとって交渉を有利にする材料は何だろうか。Apple(アップル)とTesla(テスラ)は中国での事業展開にかなり関心をもっている数少ない米国テック大企業だ。
画像クレジット:Jennifer A Smith / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)