吉利傘下のVolvo CarsがストックホルムのNASDAQに新規株式公開を申請へ

中国の浙江吉利控股有限公司(Zhejiang Geely Holding)傘下のスウェーデンの自動車メーカーであるVolvo Cars(ボルボ・カーズ)は現地時間10月4日、新規株式公開を申請し、ナスダック・ストックホルム取引所に上場すると発表した。上場により最大29億ドル(約3190億円)の資金調達を見込む。

上場により、Volvo Carsの価値は最大で250億ドル(約2兆7500億円)になる可能性があると、ウォール・ストリート・ジャーナルが関係者の話として報じた

Volvo Carsのプレスリリースによると、吉利は一定数の株式を売却するが上場後も筆頭株主として残る。スウェーデンの機関投資家であるFolksam(フォルクサム)とAMFも同様に株主として残る。Volvo Carsは声明で、吉利との関係、および吉利のエコシステムに属する他の企業との関係のおかげで「既存および将来の技術の共有、共同調達、規模の経済によるメリットを享受し、相乗効果、競争力、長期的な価値を実現することができます」と述べた。

Volvoは2030年までに全ラインナップを電動化し、2030年代半ばまでに販売台数の50%を電動化すると約束した。今回のIPOで得る資金は「市場環境が悪化した場合であっても」電気自動車への完全移行を早めるために使われると述べた。

このニュースは、Volvoがこの11年間でどれだけ成長したかを物語っている。同社は2010年、Ford Motor(フォード・モーター)により18億ドル(約1980億円)で吉利に売却され、Fordは多額の損失を計上した(Fordは1999年に65億ドル[7150億円]でVolvoを買収した)。Volvoは吉利に買収されて以来、中国に2つの車両組立工場を建設し、サウスカロライナ州にも工場を建設するなど、大規模な拡張を行ってきた。6月にはサウスカロライナ工場にさらに1億1800万ドル(約130億円)を投資すると発表した。

回復は販売にも表れている。同社は10月1日、2021年の9月までの売上高が、2020年の同時期と比べ17.6%増加したと発表した。

Volvoが株式公開の意向を表明する前に、EVメーカーのPolestar(ポールスター)が200億ドル(約2兆2000億円)規模でSPAC(特別買収目的会社)と合併するというニュースが流れた。Volvo Carの電気自動車ブランドの一部門であるPolestarも吉利が所有する。このタイミングは偶然ではなさそうだ。WSJの報道によると、Volvoが持つPolestar SPACの株に約100億ドル(約1兆1000億円)の価値が割り当てられ、VolvoのIPOへの道が開けたとのことだ。

画像クレジット:Volvo Cars

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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