見込み客から何らかのコンタクトがあれば、営業員の出番だ。通常、自己紹介もかねた挨拶メールを送ることから始めることだろう。人工知能システムのConversicaは、このようなコンタクト初期のメールを自動化し、その後に人間の営業員に引き継ぐというシステムを開発している。現地時間14日、同社は3400万ドルの資金調達を完了したと発表した。
本調達ラウンドのリード投資家は、Providence Strategic Growthだ。その他にも、Tobo Capital、Wellington Financial LP、Recruit Strategic Partners、そしてシリーズAにも参加したKennet Partnersなどが参加している。これにより、本調達ラウンドをあわせた合計調達金額は5600万ドルとなる。
Conversica CEOのAlex Terryは、「Conversicaは会話型AIプラットフォームです」と話す。同社の主力プロダクトは、AIを利用した営業アシスタントだ。このアシスタントは人間ではないものの、自分の名前はもちろん、専用のメールアドレスを持ち、まるで人間のように企業の代表として顧客と接することができる。
Conversicaの役割は、企業のホワイトペーパーをダウンロードしたり、企業が主催したコンファレンスに参加したり、Webサイトから問い合わせがあった顧客とのコミュニケーションだ。コンタクト済みの顧客情報は営業部門に手渡され、営業プロセスが開始する。リストに顧客の名前が表示され、営業員がそれぞれの顧客の担当につくことになる。通常であれば、AIによる初期コンタクトはその後、各企業ごとに定められたワークフローへと移行する。
Conversicaの目標は、このような営業タスクを人間にとって自然な形で自動化することである。「連絡している相手がAIアシスタントであるとは気づかないでしょう。自然なコミュニケーションなのです」とTerryは話す。ConversicaのAIアシスタントは、顧客からの質問に答えたり、質問に答えられない場合には人間の営業員による電話へ顧客を引き継ぐことなどができる。
Conversicaには様々なAI関連技術が利用されている。その1つが自然言語処理(NLP)で、この技術によってAIアシスタントは顧客の言葉を「読む」ことができる。見込み客が発した言葉の背後にある意味を理解するのだ。
2つ目は推論エンジンだ。これにより、アシスタントは顧客の言葉に含まれるキーワードを探すだけでなく、そこから顧客が求めていることを正確に理解することが可能になる。言葉の内容を理解し、その内容の裏側にある感情を理解するという考え方だ。例えば、AIアシスタントが「すぐには売上につながらない」と判断した場合には、後々アプローチできるようにその顧客を「後から連絡するリスト」に加えることもできる。
最後に、このAIアシスタントは顧客からのメールの内容に対応した自然な返答を生み出すことができる。「このシステムには様々なテクノロジーが利用されています。よくある”自動応答システム”よりも、はるかに優れたカスタマーエクスペリエンスを生み出すのです」とTerryは語る。
これまでにConversicaは1000社以上のユーザーを獲得しており、同社は今後、このAI技術をカスタマーサポートの分野にも適用することを目指している。このプロダクトは現在開発中だ。
Terryによれば、Conversicaの従業員は現在140名で、年間の経常収益は1800万ドルにものぼるという。
同社は今回調達した資金を利用して、営業部門とマーケティング部門の人員を強化していく。それに加えて、新たなソフトウェア・パッケージとの統合や、パートナーシップの拡大も目指す。そして、おそらく2018年頃にはグローバル展開を開始する予定だ。
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