地上走行配送ドローンの普及は近い―Skypeの共同ファウンダーのスタートアップが実験を拡大

2016-07-07-starship-technologies-justeat

今のところ空を飛ぶドローンによる配送は現実性というより話題作りで会社をPRするのが主な目的だ。しかし車輪によって歩道をゆっくり走る自動運転ドローンはeコマースの配送手段として意外に早くわれわれの身近に姿を現しそうだ。

ロンドンに本拠を置くStarship Technologiesの共同ファウンダーにはSkypeの共同ファウンダーとして著名なAhti HeinlaとJanus Friisが含まれている。このスタートアップは今月からイギリス、ドイツ、スイスで自動運転配送ドローンの大規模な実用化テストを開始する。

Starshipの小型の車輪走行ロボットは、すでに9ヶ月前から12カ国で試験走行を行ってきた。しかし今回はこのドローンとしては初めて実際に商品を配達する実験を行う。つまり提携企業に対し、実際に配送能力を提供するものだ。世界的に料理配達ネットワークを展開するJust Ea、ロンドンのPronto.co.uk、、ドイツのリテラー、Metro Group、荷物の配送ネットワークのHermesなどがパイロット・プログラムに参加する。テストでは5都市でこれらの企業の実際の顧客にロボットが注文の品を配達する。

ドローンが最初に歩道に登場するのはロンドン、デュッセルドルフ、ベルンになる。このテストが成功すればヨーロッパとアメリカの他の都市にも運用が拡張される。Starship Technologiesのマーケティングとコミュニケーションのマネージャー、Henry Harris-BurlandはTechCrunchのインタビューに対し、「テストは6ヶ月から8ヶ月を予定している。テストの結果にもよるが、われわれは2017年にも全面的な実用化ができるものと期待している」と語った。

Starship_Robot-2

テストの目標についてHarris-Burlandは「いろいろあるが、中でも公衆の反応、テクノロジーの信頼性、人間とのコミュニケーションが重要だ。また食べ物でいえば熱いもの熱く、冷たいものを冷たいまま運べるか、生鮮食品を運べるかなどもテストする」と語った。

私はHarris-Burlandにこのロボットはいたずらやバンダリズムの被害に遭う(残念ながらそういう実例がある)ことはないか、また行き会う人々を驚かせはしないか尋ねてみた。

メールで送られてき回答によると、「ロボットに対する不正な行動は実はごくまれだ。 5000マイルにおよぶテストを繰り返してきたが、これまでに第三者による妨害に遭遇したことは一度もない。しかし多数のドローンが路上を走行するようになれば、いずれは何かが起きる可能性がある。そうした妨害を予防し、対処するテクノロジーを確立することも実用化に向けたテストの目的の一つだ。ロボットには9台のカメラが装備されており、ごく近距離まで常時監視している。正常な運行に障害が生じればオペレーターに直ちに警告が発せられる。いずれにせよロボットは40万以上の人々の間で運用されてきたが、これま問題は起きていない」ということだ。

この先進的ロボットが一般人を驚かせるのではないかという質問に対して、Starship Technologiesでは「ロボットの目的(商品の配送)を広く啓蒙する」ということだ。またHarris-Burlandによれば「広汎なテストを通じてロボットと人間との付き合い方を研究していく」と語った。

「配送実験の初期の段階ではロボットは単独では運用されず、人間のオペレーターが付きそう。これにはいくつかの理由があるが、公衆の反応を観察するのもその一つだ。たとえば門口にロボットが現れたとき注文主はどういう反応を示すか? 注文主が抱くであろう疑問に対して答えるのも付き添いのオペレーターの役割だ。いずにしても世界最初のロボット配達の注文主になるのは大いにクールな経験として喜んでもらえると思う」とHarris-Burlandは付け加えた。

Starship Technologiesではロボットを社会に溶けこませるためにどうしたらよいかなどロボットの実用化にあたって見過ごされがちな点を細部にわたって検討している。こうしたロボットがオペレーターの介入の必要なしに順調かつ効率的に荷物の配送を続けられるとよいと思う。

〔日本版〕ビデオではSkypeの共同ファウンダー、アーティ・ヘインラ〔Ahti Heinla〕がサラ・バー記者にロボットの機能やテスト計画を詳しく説明している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+