前回の米大統領選挙が行われ、世界がまるで異次元になったかのように思われた2016年、Jordan Hewson(ジョーダン・ヒューソン)氏はSpeakable(スピーカブル)というプラットフォームを立ち上げた。そこでは、ニュース記事の読者が、気になった課題や問題点に対してニュースを読んでいるその場で行動が起こすことができる。同社はパブリッシャーやNGOと提携して、パブリッシャーのサイトに「アクションボタン」を設けた。
そして現在、気になる課題に対して人々はずっと積極的になった。そこでヒューソン氏は、actionable(アクショナブル)という新製品を立ち上げることにした。数十種類の課題にわたり行動が割り当てられた、行動のライブラリーだ。最も気になる問題に対して自分に何ができるかを、ハッキリと提示してくれる。
このプラットフォームでは寄付も行動の1つだが、他の行動も紹介している。例えばボランティア、地元議員との接触、嘆願書への署名などだ。
「私たちは2016年の選挙の前に設立されました」とヒューソン氏。「Speakableは、簡単に行動が起こせなければ人は行動しない、という仮説に基づいています。しかし、政治的にも社会的にも、本当にたくさんの変化がありました。今この現状を打開するために自分に何ができるかを、人々は本気になって探しています。そこで私たちは、やるべきことが積極的に探せて、コミュニティ体験を深めることができるプラットフォームをユーザーに提供したいと心底思ったのです」。
同プラットフォームが扱う問題点は教育、平等の権利、環境、健康、移民、政治、貧困、人種間の平等など数多い。1つの問題をクリックすると、それに対して取ることができる行動が寄付、ボランティア、嘆願書の署名といったタイプごとに示される。またここは、各団体の活動内容を掘り下げて、資源がどのように使われているかが明確にわかるようにもしている。
Speakableがオープンした当時、急いで規模を拡大する目的でサービスを無料提供していた。現在は、このプラットフォームを通じて行われた寄付に対して、3%の手数料を徴収している。しかしヒューソン氏は、それを同社の主要な収入源とは考えていない。
むしろSpeakableでは、提携ブランドがアクションボタンのスポンサーとなり、それぞれの目標に沿った取り組みに役立てている。キャンペーンやスポンサーと、特定の問題に取り組む地元議員につながる能力とのマッチングというかたちをとり、提携ブランドに代わってキャンペーンや運動の拡大を図ることで、Speakableともどもパブリッシャーにも新たな収入源をもたらすとヒューソン氏は説明している。
同社は現在、米国で活動するおよそ90社のパブリッシャーと提携し、APIを介して、すべての非営利団体の登録を目指している。
おもしろいことにactionableは、プラットフォーム内での非営利団体のランク付けやキュレーションはあまり行っていない。非営利団体に対して中立的な立場を保つためだとヒューソン氏はいう。
Speakableは設立以来250万ドル(約2億6000万円)の資金を調達した。これまでに1000万件の活動を支援しているが、その大半は2020年に始まったものであり、今年は520万件の活動が実施された。実際、つい先週もSpeakableは、朝の情報番組「Today」でフードバンクの非営利団体Feeding America(フィーディング・アメリカ)への寄付を、たった1日で130万ドル(約1億3500万円)以上集めた。
同社のスタッフはおよそ15名。女性創設者のこの企業で働く60%が女性。20%は有色人種、10%はLGBTQ+となっている。
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(翻訳:金井哲夫)