エモーシブは6月5日、男性向けのファッションコーディネート提案アプリ「ベストスタイルミー」のiOS版を正式公開した。Android版は2014年10月に公開されている。
人力とアルゴリズムで最適なコーディネートを提案
ベストスタイルミーは、ユーザーが質問に回答して自分の服の好みを選択した上で、所有している、もしくは購入を検討しているファッションアイテムの写真を撮影すると、24時間以内にそのアイテムを使った最適なコーディネートを提案してくれるサービス。
コーディネートの提案は、人力での画像判定と、独自のアルゴリズムを組み合わせて行う。アップロードされた写真に対して、そのファッションアイテムがシャツなのかジャケットなのかという「種類」やアイテムの「色」、半袖か長袖かといった「袖丈」などをまず人力で判定。その上で機械的に最適なコーディネートを提案する。
人力でのチェックが入ることもあって、ECサイトで見かけるような背景白抜きできっちり撮影した写真でなくとも利用可能。例えばコーディネートを知りたいアイテムを着た自分自身の写真をアップしてもいいのだそうだ。写真を数多くアップデートすることでユーザーの好みを学習し、さらに最適なコーディネートを提案してくれる。ただ、人力ということでどこまでの件数を処理できるかというのはちょっと気になるところだけれども。
サービスを提供するエモーシブは2012年11月の設立。これまでにインキュベイトファンドおよびディー・エヌ・エー、プライマルキャピタルから資金を調達している(金額は非公開)。
スタイリストの「ロジック」をシステムに落とし込む
エモーシブ代表取締役の坂本慧氏は、新卒でホリプロに入社。3年2カ月芸能人のマネージャーを務めたのちに起業を志した。インキュベイトファンドが主催する起業支援プログラムの「Incubate Camp 4th」にも参加している。papeboy&co.(現GMOペパボ)創業者の家入一真氏が自由な発想で次々とサービスをリリースしているのを見て、自らもサービスを立ち上げたいと思ったという坂本氏だが、前職で出会ったスタイリストとのやりとりがベストスタイルミーの企画に繋がったと説明する。
「スタイリストはセンスや感覚でファッションアイテムを選んでいるように見えるかも知れないが、実は何と何が似合うのかということを非常にロジカルに考えている。ロジカルなのであれば、その考え方をシステムに落とせないかと考えた」(坂本氏)
僕もそのアルゴリズムのベースになっているスタイリストへのヒアリングシートの一部を見せてもらったのだけれども、「○○の柄は××な体型には合わない」といったことからファッションアイテムの区分、配色の組み合わせに関する内容まで幅広い。坂本氏いわく「スタイリストには合計100時間以上話を聞いている」(坂本氏)とのこと。これに季節ごとのトレンドなどの情報を追加してアルゴリズムをアップデートしている。
ダウンロード数は4万件に満たない程度でまだまだこれからという数字だが、「リテンションは高い」(坂本氏)とのこと。コーディネートアプリと聞くと、スタートトゥデイの「WEAR」などを思い浮かべるが、坂本氏は利用のニーズが違うと説明する。
「ゼロベースでコーディネートを考えるのであればWEARでいいと思うが、ベストスタイルミーは自分の持っているファッションアイテムを軸にコーディネートを提案してくれる」(坂本氏)。今はアップロードした写真以外、ユーザーの所有していないファッションアイテムを組み合わせてコーディネートを提案しているが、「自分が持っているファッションアイテムだけでのコーディネートを提案する機能が欲しい」という要望も少なくないという。
現状、収益源はファッションアイテムのアフィリエイトのみ。今後はオプション機能の提供などでユーザー課金をする予定だという。