Appleが同社のApple Watchのサポートページを更新して、手首にタトゥーのある人が着けると問題があることもありえる、と述べている。この変更が加えられたのは、タトゥーがこのスマートウォッチの心拍計測機能の邪魔をしたり、またそのほかの問題の原因にもなっている、という報告がユーザから相次いで寄せられたためだ。Appleは、タトゥーに使われているインクなどで皮膚の様相が変えられていると、心拍センサの性能にその影響が及ぶことがある、と言っている。
具体的には、タトゥーのインクや絵柄や色彩によってセンサからの光が妨害されると、センサの正しい読みが困難になる、というのだ。つまり、暗い色のタトゥーが皮膚表面の広い面積を覆っている人は、小さくて明るいタトゥーの人より影響を受けやすいのだ。
タトゥーに関するパラグラフが加えられたのは、Apple Watchの心拍センサの動作を詳しく説明しているページで、センサの性能やその値の正しさに影響を及ぼす要素を述べている部分だ。古いWebサイトのコピーを保存しているInternet Archiveで、そのページの前のバージョンを見ると、タトゥーに関する記述はない。それは、Apple Watchの4月のローンチの前に公開されたページだ。
つまりAppleは、ユーザからのフィードバックによって問題を認識したのだ。YouTubeに、その現象のビデオをポストした者もおり、マスコミはそれに飛びついた。
手首のタトゥーがApple Watchの光センサに影響を与えることは、それほど意外ではない。ユーザは、Apple Watchを手首にややゆるく着けることを推奨されている。Appleは、“しっかりと、しかし締め付けないように(snug but comfortable)”、という言い方をしている。Appleの説明は:
Apple WatchはグリーンのLED光源と感光性の半導体を使って、手首を流れる血液の量を測定します。心臓が脈打つと、手首の血流が増えて、半導体が吸収するグリーンの光の量も増えます。脈と脈のあいだでは、血流は少なくなります。Apple WatchはLEDの光を1秒間に数百回点滅させることによって、心臓の毎分の脈動数、つまり心拍を、計算します。
この種の技術に問題があることは、前から知られている。たとえば、数か月前にはRedditのユーザが、Fitbitの心拍モニタ HRの精度に問題がある、と述べている。2014年のCNetの記事も、当時の心拍モニタ製品が皮膚の色素沈着で狂うことがある、と指摘している。
iFixが4月にポストした分解記事によると、Apple WatchはAppleが主張している以上の高度なセンサを搭載している。その記事は、Appleの心拍モニタは実際にはプレチスモグラフであり、その外観と動作からはパルスオキシメーターのようだ、しかしそれでもAppleは、血液の酸素濃度を計測するとは主張していない、と述べている。広告でそれを強調しないのは、FDAの規制があるからだ、とも。
その、高級なセンサをもってしても、手首のインクがセンサの読みの邪魔をするという問題を、避けられないのだ。
Appleが推奨している対策は、Bluetoothで通信する胸バンドのような外付けの心拍モニタとApple Watchをワイヤレスで接続することだ。それは、ちょっとかっこわるいソリューションだが、スポーツ選手や自己計測マニアの人にとっては、十分に使える方法だろう。