KGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuoによると、Appleからもうすぐ出るはずのiPhone Xは、今だにサプライチェーンの制約に直面しているらしい。11月3日の発売までに200万から300万台を確保できるようだが、それでは需要に十分対応できない。
Apple自身は数字を公表しないが、昨年のiPhone 6sの場合は最初の週末に1300万台売れ、iPhone 6は1000万台、iPhone 5s/5cは900万台だった。すでに発売されたiPhone 8のせいでiPhone Xの需要はややそがれると思うが、それでも200万〜300万の当初在庫では、多くのお客さんをがっかりさせるだろう。
iPhone Xは、これまでのiPhone新製品に比べて斬新な機能や部位が多い。これまでのAppleは、そういう最先端の部分を、サプライヤーの生産能力が十分大きいときに実装していたが、iPhone Xでは複数の部品がサプライチェーンのネックになっている。
KGI Securitiesによると、たとえばアンテナには可撓性のPCBを使うようだが、それは彼らが作り慣れているPCBではない。だからAppleは、同社の量的に厳しい要求を満たすサプライヤーを見つけるのに苦労したはずだ。このパーツはMurataがメインのサプライヤーになる予定だったが、一社で何千万は無理だったようだ。Appleが新たに見つけたサプライヤーは、発注が遅れたぶん納品が遅れる。
カメラに関しては、センサーごとに使用する回路基板が異なる。そのほかのスマートフォンメーカーは、カメラ用の回路基板といえば一つだが、Appleの独特な設計はサプライチェーンにとってチャレンジだ。
そしてiPhone Xは、前面に大量のセンサーを載せている。画面上部のノッチのところには 小さなKinectがある。赤外線のドットのネットワークを投射して、その反射によりユーザーの顔の3Dマップを作るための部位もある。このドットプロジェクターも、量産できるサプライヤーが簡単には見つからなかったようだ。
iPhone Xの予約受付は太平洋時間10月27日の午前0時に始まる。どうしてもほしい人は、予約に遅れるべきではない。数分遅れただけで、数週間待たされる可能性もある。
その数週間の間に生産量は上がるだろうが、Appleストアへ行ってiPhone Xをすぐ買える状態になるまでに数か月はかかりそう、という雰囲気もある。2週間後の四半期決算報告でTim Cookが、サプライチェーンの問題について何と言うか、楽しみだね。