新型コロナ検査サイトのサービス内容についてトランプ大統領がミスリード

トランプ米大統領は3月13日、ホワイトハウスでの記者会見で1700人のGoogle(グーグル)のエンジニアが新型コロナウイルス(COVID-19)のスクリーニングサイトに取り組んでいると発表した。そのサイトは、新しいスクリーニングプロセスの最初のステップとなるはずだった。サイトで利用者が自身の症状に基づき詳細な検査が必要だと判定したら、新しい「ドライブスルー」検査場へ向かうという流れだ。だがトランプ氏は間違っていた。このスクリーニングサイトはGoogleによって開発されたものではない。Alphabet(アルファベット)のライフサイエンス部門であるVerily(べリリー)が手掛けていて、まだ立ち上げの準備中だ。

両社ともAlphabetという同じ親会社を持つが、それぞれまったく異なる会社だ。さらに、トランプ大統領の発表から約3時間後にVerilyが声明で明らかにしたように、このサイトはまだ準備中だ。

「Verilyは、新型コロナウイルスの検査でトリアージ(患者の重症度に応じて治療の優先度を決定・選別すること)を支援するツールを開発している。開発は現在初期段階だ。ベイエリアでテストを開始する計画を立てており、その後にほかの地域へも展開したいと考えている」と同社は声明で述べた。「支援してくれた政府関係者と業界パートナー、そしてこの取り組みに参加してくれたGoogleのエンジニアに感謝している」。

ホワイトハウス・コロナウイルス対策コーディネーターのDebbie Birx(デビー・バークス)博士は2020年3月13日、ワシントンDCのホワイトハウス・ローズガーデンで開催された記者会見で、ドナルド・トランプ米大統領とホワイトハウス・コロナウイルス・タスクフォースメンバーが見守る中、新型コロナウイルス(COVID-19)に関して話している。トランプ氏は新型コロナウイルスに関して国家非常事態を宣言した。(写真:SAUL LOEB / AFP, Getty Images)

Verilyはサイトが「初期段階」だとを明確に述べている。ホワイトハウスのコロナウイルス対策コーディネーターであるバークス氏とトランプ氏は、このサイトがまだ準備中であること、最初はベイエリアでのみ運用することについては言及しなかった。

そのため記者会見を目にした誰もが、サイトはほぼ準備が整ったという印象を持った。スクリーニングプロセス全体的の中での役割の重要性を考えればなおさらだ。

「Googleに感謝したい。Googleがウェブサイトの開発を支援している」とトランプ大統領。「過去のウェブサイトとは異なり、検査が必要か迅速に判定し、近くの便利な場所での検査を勧める。検査場も多く用意した。この国と世界の大部分をカバーする。今すぐに世界について語るつもりはないが、我が国をとても、とても強力にカバーする。ほぼすべての地域で検査できる。Googleで現在1700人のエンジニアが取り組んでいる。進捗状況は著しくいい」。

同様に、バークス氏は新しいスクリーニングアプローチの発表で、プロセスがスクリーニングウェブサイトから始まることを強調した。トランプ氏の記者会見でのコメントもあったため、多くの評論家はサイトが米国時間3月15日の夜までに準備されると思った。

Verilyの広報担当者が発表したサイトの計画に関する声明は次のとおりだ。「現時点で共有できるのは、トリアージツールを広範に使用するということだ。最初はこのサイトとベイエリアの複数のサイトをリンクしてテストを繰り返す。他の地域で検査を便利で受けやすいものにするために取り組んでいるQuest DiagnosticsやLabCorpといった組織と緊密に連携する」。

The Vergeに発表した別の声明でVerilyは「このツールはもともと医療従事者向けだったが、大統領の発表により一般大衆向けサイトに変更された」と述べた。プロジェクトの当初の意図がどうあれ、Verilyが大統領の発表に多少なりとも驚いたことは明らかだ。

現在、テクノロジーの世界以外の人がAlphabetとGoogleを区別なく使用することは珍しくない。それでも、VerilyはGoogleではなく、ベイエリアは国全体ではない。いずれも重要な事実だ。

画像クレジット:SAUL LOEB/AFP via Getty Images / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。