イエバエやミバエなどの、信じられないほどの敏捷さは、すべてのロボットとドローンを赤面させる。でも彼らに見倣ったデバイスが、やっと追いつきつつある。このたび新たに作られた四翼の羽ばたきロボットは、ミバエのあまりにも敏捷な飛行方法の模倣に成功しただけでなく、一回の充電で最大1キロメートルも飛ぶことができる。
デルフト工科大学のロボティクスの研究者たちは、昆虫の飛び方に関して彼らがまとめた理論を、実際にロボットとして実装し検証するための飛行体を作りたい、と思った。もちろんそれはワイヤレスで、しかもプロペラなど昆虫に本来ない推進機構があってはいけない。
彼らは単に、羽ばたきで前進するクールなロボットを作りたかったわけではない。昆虫が、突風や自分を叩(はた)こうとする人の手の動きなどに反応するときの、リアクションとコントロールはおそろしく速い。これほどの情報伝達能力を自動操縦ドローンや小型飛行機が持ったら、すごいことになるだろう。あなたが乗ってるジェット旅客機が稲妻を自動的にスムーズに避けることができたら、すてきではないか。
しかし昆虫よりもずっと大きなものになると、その飛行方法は質量が大きすぎて機能しない。彼らの羽ばたきロボットはScience誌の表紙を飾り、彼らのこんなペーパーが載った:
重量とサイズの制約が厳しいので、これまでの設計の多くが、その原型となった生物の飛行性能に到達できていない。それらは必要なレベルの敏捷性を欠き、離陸に必要なパワーがなく、1分以上飛ぶことのできる十分なエネルギーを搭載できなかった。
それだけではなく、Robobeeのような小さなロボットは電源に接続するケーブルを必要とし、そのほかの小さな羽ばたき機は手動による有線の操縦を必要とする。それでは、だめだ! そこでデルフトのチームは、小さな動物の生物的機構を忠実に模倣することをやめて、同じ飛行特性を現実的な大きさで実現できる、ほかの方法を探した。
彼らが作った四翼で尾のないスタイルの創造物DelFly Nimbleは、奇抜だが疑う余地なく有効だ。彼らのロボットは秒速7メートル(時速約25キロメートル)で飛び、定位置でホバーリングでき、急降下や回転など、あらゆる極端な動きがスムーズにできる。ジョークではなく実際に、継続的な推力のあるローターでそれらができる。羽根の動きを調整してコントロールする。このビデオで、そのほかの妙技を見てみよう。
たぶん、いちばん驚異的なのは、その航続距離だ。このロボットは一回の充電で1キロメートル飛ぶ。無人ロボットで‘キロメートル’などという数字は、ほとんど軍用品の仕様だ。
しかしDelFly Nimbleは、興味深い科学的データも作り出している。研究のリーダーMatěj Karásekが説明する:
動物実験と違って、ロボットの脳の中で起きることを完全にコントロールできる。そのため、飛行をアシストしている新しい受動空気力学の仕組みを見つけて記述できる。そのほかの飛行動物の、高速傾斜旋回の間の方向制御の仕組みも、そこから理解できるだろう。
開発は継続しており、生物学者や政府機関方面からオランダの発明家たちに宛てた、関心表明の手紙も日増しに増えている。
画像クレジット: デルフト工科大学