暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.27~10.3)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.27~10.3)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年9月27日~10月3日の情報をまとめた。

Atariの独自トークン「Atari Tokens」が暗号資産取引所Bitcoin.comを介し11月にIEO、販売終了後に上場決定

ビデオゲーム界の老舗メーカーAtari(アタリ)は10月1日、暗号資産取引所Bitcoin.comとの間でAtariの独自トークン「Atari Tokens」(ATRI。EthereumのERC-20準拠)の公開販売(IEO。Initial Exchange Offering)および販売完了後の上場に向けた契約の合意を発表した

Atariの独自トークン「Atari Tokens」が暗号資産取引所Bitcoin.comを介し11月にIEO、販売終了後に上場決定

IEOの開始は、2020年11月上旬を予定。暗号資産取引所Bitcoin.comを介して、ジブラルタル拠点のAtariグループ子会社Atari Chainが実施する。Atari Tokenは販売期間中、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の主要暗号資産でのみ購入可能となる。

今回のIEOとその後の上場は、Atariのブロックチェーンプロジェクトにとって重要なマイルストーンという。Atari Token保有者に流動性を提供し、同プロジェクトが計画をするAtariブロックチェーンエコシステムの発展への道を切り開く第1歩としている。

Atari Tokenのユースケース

またAtari Tokenのユースケースは、現在、Atariグループが活動をしている分野を予定。それぞれ関係各所とパートナーシップ契約を締結しており、平行していくつかのプロジェクトが進んでいる。最初は、暗号資産を使用したAtari CASINO、PCゲーム配信プラットフォームUltraでのAtariゲームの配信、今秋発売予定の新型家庭用ゲーム機「Atari VCS」などで利用される予定になっている。パートナーシップに関しては、順次atarichain.comで発表されるという。

最終目的は、決済手段はじめ、スマートコントラクトの促進、ゲーム内の収益化、アセットの拡張から保護まで

Atari Tokenは、イーサリアムのERC-20準拠のトークンとして発行された暗号資産。主たる目的は、ビデオゲームなどインタラクティブエンターテインメント業界内での決済手段として利用するものの、トークンはさまざまな業界にも有益であるとAtariグループは考えているという。

最終的な目標は、Atari Tokenが世界中で利用可能になること。決済手段のみならず、スマートコントラクトの促進から、ゲーム内の収益化、アセットの拡張から保護まで、多くの用途を想定しているそうだ。また、安全かつ信頼性が高く、普遍的で、流動性のある使いやすいトークンの作成を目指している。

Atari TokenはIEOおよび上場を機に、Atariのパートナーを含むさまざまなAtari商品やサービスとの交換手段として、まもなくAtariのネットワーク内で利用できるようになる。

Atari Token誕生までの経緯

Atari Tokenを開発するチームは、現在、Atariグループとドイツを拠点とするインターネット銀行ICICBによるメンバーで構成されている。

Atari Tokenは2018年の発表当初、AtariグループがInfinity Networks Limited(INL)とパートナーシップを結び独占契約を締結、INLにAtariブランドを付与し、ブロックチェーンプロジェクトとして立ち上がった経緯がある。プロジェクトでは、暗号資産の作成やAtariブランドを使ったブロックチェーンゲームや映画、音楽などあらゆるデジタルエンターテインメントにアクセスできるプラットフォームの構築を目指していた。

しかし、INLによるブロックチェーンプロジェクトは、Atariが期待する速度で開発は進まなかったようだ。AtariとINLは、どちらの側にもペナルティを発生させることなく、円満かつ即時にこのライセンスを終了させ、すべての権利をAtariグループ側に回復させることで合意し、INLとのパートナーシップを解消した。

その後、Atariグループはブロックチェーンプロジェクトをふたつに分離し、Atari Tokenについては、2020年3月にICICBグループと提携した。

グループは、Atari Tokenのユースケースの最大化を考慮し、開発の速度を上げるために、現時点において最も実現性の高いプロジェクトを優先しパートナーシップを締結している。それらが、Pariplayと契約をしたAtari CASINOであり、Ultraを始めとするその他のパートナーシップでということになる。Atari CASINOはまもなく開始を予定しており、IEOの前にAtari Tokenのプレセールを実施している。

ウォレットなどの開発も進行

Atari Tokenは、IEOおよび上場の計画の他にも、現在、ウォレットなどの開発が進んでいることも明らかにしている。ウォレットはすでにAndroid版のテストが最終段階であり、監査が完了し、安全性が確認でき次第発表するとした。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始

NEMブロックチェーンのプライベートチェーン版「mijin Catapult(2.0)」を提供するテックビューロホールディングス(テックビューロHD)は9月30日、アマゾン ウェブ サービス(AWS)が世界190ヵ国で提供する「AWS Marketplace」において、初の日本法人パートナー企業のうちの1社として登録されたと発表した。同日より、mijin Catapult(2.0)の提供を開始した。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始
AWS Marketplaceは、同社クラウドサービス向けのオンラインソフトウェアストアである。ITビジネスを構築・運営するために必要なサードパーティーのソフトウェア・データ・サービスを検索・購入・デプロイ・管理するために使用できるデジタルカタログとなる。

今回のAWS Marketplace登録により、販路として世界190ヵ国のAWSの顧客に対しグローバルなサービス提供をできるようになったほか、月間29万人を超えるアクティブな顧客に対して同社サービスをアピール可能となった。

NEMブロックチェーンのプライベートチェーン「mijin」

テックビューロHDが提供するプライベートチェーン「mijin」は、NEM(ネム)コアの開発者が同社に合流し開発したNEMブロックチェーンのプライベートチェーン版。「mijin Catapult (2.0)は、エンタープライズで利用可能なプライベートブロックチェーン環境を構築する「mijin v.1」をバージョンアップした製品。

またmijin Catapult (2.0)は、NEMの次期バージョン「Symbol」にあたる存在でもある。mijin Catapult (2.0)は2018年6月にオープンソース化され、Symbol公開に先行し2019年6月より製品版として公開されている。

mijin Catapult (2.0)は、300社以上への提供実績を持つmijin v.1の性能を向上させるために仕様全体を一新し、機能・性能・仕様のすべての面においてバージョンアップを実施。異なるブロックチェーン間でのトークン交換や複数トランザクションの一括処理を可能にするなど、前バージョンの課題であった処理速度、スケーラビリティの両面で大幅なグレードアップを実現している。

具体的には、mijin v.1と同様、ひとつのブロックチェーン上に複数のアセット(トークン)を同時に発行し流通・管理を行える機能「マルチアセット」、複数人の合意によって取引・コントラクトを実行する「マルチシグネチャー」機能が最大3階層まで設定が可能になった。

追加の機能として、第3者を介さず異なるブロックチェーン間でのトークン交換(クロスチェーン・トランザクション)や、複数トランザクションの一括処理(アグリゲート・トランザクション)が可能となっている。前バージョンの課題であった処理速度、スケーラビリティの両面での大幅なグレードアップも実現した。

今回のAWS Marketplaceにおける提供では、ブロックチェーンの導入促進を目的に設計・開発イメージをより多くのAWSユーザーに体験してもらえるよう、機能を制限した無料トライアル版が提供されている。

無料トライアル版の概要は、以下の通り。

  • ノード: 1台のみ(DUALモード/APIノードにHarvestを有効)
  • デプロイ: およそ15分程度で下記構成が完成
  • ライセンス費: 無料
  • インフラ費: AWS使用料として、Amazon EC2、Amazon EBS、Amazon Route53、パラメータストアの費用は発生
  • リージョン: 世界16リージョンに提供

制限事項として、公開ネットワークのみ(IPアドレス制限は可能)の配置、基軸通貨発行数は2000cat.curency限定、手数料が必要、提供されるバージョンは、「mijin Catapult (2.0)(0.9.6.4)」に固定としている。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始

テックビューロHDでは、2020年12月に予定されているSymbol正式版のリリースに合わせて、有料エンタープライズ版の追加公開を予定。またmijin Catapult (v.2) Free Trial版については、2021年1月末日をもってAWS Marketplaceから削除する予定で、2021年4月1日以降は問い合わせも受付終了予定としている。

パブリックチェーンのSymbolとプライベートチェーンのmijin Catapult(2.0)のクロスチェーン・トランザクション

パブリックチェーンのSymbolとプライベートチェーンのmijin Catapult(2.0)のクロスチェーン・トランザクションでは、「Atomic Swap」という方法でプライベートチェーンとパブリックチェーン両者のメリットを使い分けて利用できるようになる。それにより、Symbolとmijin Catapult(2.0)や、管理者の違うmijin Catapult(2.0)間でお互いのモザイク(トークン)の交換が可能になる。パブリックチェーンを使いつつ、大事なものはプライベートで取引をするといったサービスが提供可能になる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

LINEの暗号資産事業・ブロックチェーン関連事業を展開するLVCとLINE TECH PLUS PTE. LTD.(LTP)は9月30日、LINEの独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」(LINE Blockchain White paper v2.1)基盤を導入した外部企業のサービスを発表した

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表LINEは、LINE Blockchainを基盤としたブロックチェーンサービス(DApps)を簡単かつ効率的に構築できる開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」を展開している。企業は、LINE Blockchain Developersを導入することにより、既存サービスにブロックチェーン技術を組み込むことができ、独自のトークンエコノミーの構築も可能になる。

また、LINE Blockchain Developersで構築した各サービス内で発行されるトークンを、LINE IDと紐づくデジタルアセット管理ウォレット「BITMAX Wallet」にて管理・連携させることもできる。企業は、それによりLINEのユーザー基盤を活かしたサービスの構築が可能になる。

2020年8月26日にLINE Blockchain Developersの提供開始を発表後、6日目にして申込数が100件を突破したという。

今回の発表では8社が紹介され、そのうちの2社はすでにサービスを開始している。導入企業の詳細は、以下の通り。

モバイルRPGゲーム「ナイトストーリー」

ブロックチェーンゲームを開発するBiscuitlabsは、9月30日よりモバイルRPGゲーム「Knight Story」の日本版を提供開始した。プレイヤーはナイトとなり、ペットとともにバトルをしながら素材を収集し、素材を組み合わせて装備アイテムを作成し強化していく。ゲーム内アイテムはNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)のため、プレイヤーはアイテムの保有権を持ち、交換・売買ができる。

電子契約サービス「リンクサイン」(linksign)

リーガルテック企業のComakeは、AI・ブロックチェーンベースの電子契約サービス「リンクサイン」(linksign)の提供を9月30日より開始。契約書の作成、内容の検討、署名、締結などと契約行為を始まりから終わりまで完結できるオールインワンプラットフォームとなっており、顧客は様々な契約書テンプレートから契約書を作成できる。また、すべての契約プロセスをリアルタイムで確認可能。ブロックチェーンにより、契約文書の偽造・変造を防止する。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ソーシャルメディア「aFan」

Common Computerの「aFan」は、クリエイターとファンをつなぐブロックチェーンベースのソーシャルメディア。ファンは、写真家、イラストレーターなどのクリエイターに直接寄付・応援することで、クリエイターのコンテンツ制作や活動をサポートできる。ファンとクリエイターは、トークン「ファンコ」を通じて、従来の「いいね」やコメント以上の相互交流が可能となる。サービス開始は、10月上旬予定。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

MMO戦略ゲーム「リーグオブキングダム for LINE Blockchain」

ブロックチェーンゲーム開発会社NOD Gamesは、MMO戦略ゲーム「リーグオブキングダム」の日本版「リーグオブキングダム for LINE Blockchain」を10月末より提供開始予定。王国同士、連盟や戦争を通じで領土を広げていく、大陸の覇権を争うゲーム。プレイヤーは、ゲーム内で保有する資産をブロックチェーンアイテムトークンに転換することで完全に保有し、取引できる。ブロックチェーン技術をさらに活用し、プレイヤーがゲームの方向性決定に参加できる仕組みも将来計画している。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

コインプッシュゲーム「CryptoDozer」

ブロックチェーンゲーム開発会社のPlayDappは、コインプッシュゲームをモチーフにした「CryptoDozer」を2020年内に日本向けに提供開始予定。30種類以上のDozerドールを入手できるコインゲーム。ファンシードールを獲得するためにDozerドールを調合することもできる。ドール強化でゲームプレイをさらに活性化することが可能。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ソーシャルカラオケアプリ「SOMESING」

Emel Venturesは、ソーシャルカラオケアプリ「SOMESING」を2020年内に日本向けに提供開始予定。いつでもどこでも高音質のカラオケを楽しむことができる。全世界の友達とデュエットすることも可能。ブロックチェーン技術を応用した世界初のカラオケアプリであり、独自のリワードシステムによりユーザーは自分が歌った歌に対して公正な報酬を受け取ることがきる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ビデオ・ストリーミング・プラットフォーム「Theta.tv」

ビデオ配信サービスを提供するTheta Labs(Theta Network)は、eスポーツ専門のビデオストリーミングプラットフォーム「Theta.tv」を2020年内に日本向けに提供開始予定。ユーザーは、コンテンツを視聴し、帯域幅を別の視聴者たちに共有することでリワードを受け取れる。ユーザーは特定のクリエイターを購読し寄付することも可能。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

スポーツゲーム「Crypto Sports」(仮称)

アクセルマークオルトプラスの100%子会社OneSportsは共同で、プロスポーツライセンスを使用したゲームの開発を進めている。2021年以降にローンチ予定。ユーザーは試合に参加して選手を育成し、その選手達を取引できる。

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カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: Atari TokensAWSEthereumLINELINE BlockchainLINE Blockchain Developersmijin CatapultNEMSymbolUltraテックビューロ

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投稿者:

TechCrunch Japan

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