発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を開発・製造するDAIZは4月19日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額18億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、味の素、丸紅、ENEOSホールディングスなど事業会社7社との資本業務提携と、三菱UFJキャピタル、農林中央金庫、三井住友海上キャピタルなどの金融投資家9社。累計資本調達額は30億5000万円となった。植物肉スタートアップとしては国内最大の資金調達となる。
シリーズBラウンドの引受先の概要
- 資本業務提携先(7社):味の素、丸紅、日鉄物産、兼松・兼松食品、ENEOSイノベーションパートナーズ、きちりホールディングス
- 金融投資家(9社):MSIVC2020V投資事業有限責任組合(三井住友海上キャピタル)、
農林中央金庫、グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合(グローバル・ブレイン)、食の未来1号投資事業有限責任組合(kemuri ventures)、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合(三菱UFJキャピタル、追加投資)、Golden Asia Fund Ⅱ, L.P.(Golden Asia Fund Ventures)、QB第一号投資事業有限責任組合(QBキャピタル、追加投資)、投資事業有限責任組合しんきんの翼(信金キャピタル)、KIRIN HEALTH INNOVATION FUND(グローバル・ブレイン)
シリーズBラウンドにおいて調達した資金は、ミラクルミートの生産体制の拡大と研究開発(R&D)の強化、グローバルでの事業展開、成長を支える人材採用などにあて、さらなる事業基盤の拡充を図る。生産体制の拡大として、工場の増床により2021年6月からミラクルミートは年間4000トンの生産キャパシティとなる予定という。また、DAIZは今後も積極的に大手事業会社との提携を進める予定としている。
また味の素、ニチレイフーズとは、ミラクルミートを原料とした家庭用・業務用商品の共同開発を行う。丸紅、日鉄物産、兼松・兼松食品とは、商社のネットワークを通じてミラクルミートの国内外への販路拡大を推進する。
CO2排出削減に資する事業の創出を目指すENEOSホールディングスとは、従来の食肉や脱脂大豆由来の植物肉と比べて環境負荷が小さいミラクルミートの普及を通じ、低炭素社会の実現を目指す。
DAIZは、2019年12月より本格的に植物肉「ミラクルミート」の事業を展開。この1年余りでは、大手のハンバーガーチェーンやスーパーマーケット、食品メーカー、飲食店において「ミラクルミート」の採用が進んでいる。フレッシュネスバーガーなどのハンバーガーチェーンを通じて、おいしい植物肉メニューを気軽に食べられるようになり、イオンやライフなどのスーパーマーケットでの発売やニチレイフーズブランドの商品にも導入されている。
DAIZの発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」
これまでの植物肉に使用されてきた主原料は大豆搾油後の残渣物(脱脂加工大豆)であったため、「味と食感に残る違和感」「大豆特有の青臭さや油臭さ」「肉に見劣りする機能性(栄養価)」といった課題が残っており、本格的な普及の妨げとなっていたという。
これに対してDAIZの植物肉は、原料に丸大豆を採用。オレイン酸リッチ大豆を使用することで、大豆特有の臭みをなくし、異風味を低減した。また独自の発芽技術によって、これまでの課題を解決する植物肉の開発に成功している。
また、味や機能性を自在にコントロールするコア技術「落合式ハイプレッシャー法」(特許第5722518号)で大豆を発芽させ、旨味や栄養価を増大。発芽大豆は、水を加えながら高温下でスクリューで圧力をかけ押し出すことにより混練・加工・成形・膨化・殺菌などを行うエクストルーダー(押出成形機)にかけ、膨化成形技術により肉のような弾力・食感を再現している。これらの独自技術により、異風味を低減した植物肉(ミラクルミート)を製造しているという。
発芽タンクを用いた独自の製造プロセスにより、原価低減を実現し、牛肉・豚肉・鶏肉に対し、価格競争力があるとしている。
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