業務管理プラットフォームのAsanaが直接上場へ

職場の生産性を高めるツールを展開しているAsana(アサナ)は2月3日、Form S-1(フォームS-1)を提出したことを発表した。そして声明文で、直接上場を通じて株式を公開する計画を明らかにした。

直接上場では、企業は新株を発行せずに上場することができる。既存の株主が保有株を任意の価格で売ることはできない。直接上場は上場に伴う手続きの煩わしさや費用を抑制する手段として、このところかなり話題になっている。Slackは2019年に直接上場し、 Spotifyもその前年に同様の手段をとった。Airbnbも直接上場に関心があると報道されている

Facebookの共同創業者であるDustin Moskovitz(ダスティン・モスコヴィッツ)氏とJustin Rosenstein(ジャスティン・ローゼンスタイン)氏が共同で設立したAsanaは、チームがタスクを割り当てたり、進捗状況を管理したり、プロジェクトの締切を設定したりできる、生産性を高めるためのソフトウェアを手がけている。

引受銀行に払う多額の手数料や長ったらしいロードショー(機関投資家への説明)、手続きに伴う当局とのやりとりをなくす手段として、直接上場はシリコンバレーの多くの人から称賛されてきた。昨年、ベンチャーキャピタリストのBill Gurley(ビル・ガーリー)氏は直接上場を勧めるカンファレンスを開催した。また、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は昨年11月に米証券取引委員会に直接上場での資金調達を可能にする提案申請を提出した。提案は数週間後に却下されたが、NYSEは直接上場プロセスを展開する意向を固めたようだ。

興味深いことに、AsanaはSlackやSpotifyよりもずいぶん小さな会社で、これまでに調達した資金も2社に比べるとかなり少ない。Crunchbaseによると、調達した資金は2億1300万ドル(約230億円)だ。2018年後半にAsanaはシリーズEで5000万ドル(約54億円)を調達し、バリュエーションは15億ドル(約1630億円)になった。直接上場によるデビューは、同社がおそらく持ち合わせの現金に満足していることを示している。

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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