データ分析企業のPalantirとワークマネジメントツール開発のAsanaの株価はNYSE上場初日に急騰

株式市場は終了し審判が下された。投資家はPalantirとAsana(アサナ)を有望だと判断した。

この2社は米国時間9月30日の午前、対抗するかのようにダイレクトリスティングによる上場デビューを果たした。2018年にダイレクトリスティングで上場したSpotifyとは異なり、ブランド認知のないエンタープライズ向けテック企業でも、ダイレクトリスティングがうまくいくことを証明した。これまでのところ証拠は確たるものであり、その仕組みは投資家を遠ざけていない。

Asanaは初の取引日を1株当たり28.80ドルで終えた。参考価格の21ドルより37%高。初取引は27ドルだった。一方Palantir(パランティア)は9.73ドルで引け、参考価格の7.25%より34%高。初取引は10ドルだった。Asanaの引け値に基づく時価総額は43億ドル(約4535億円9、Palantirの完全希薄化後株式数(最近の証券売却を含む)に基づく時価総額は248億ドル(約2兆61567億円)だった。

ちなみにEquityシリーズの共同ホストであるNatasha Mascarenhas(ナターシャマスカレンハス)と私は、これらの数字について「Equity Shot」で議論した。我々の考察と分析に興味のある人は以下の音声を聴いてほしい。

さて、こうした派手な数字によって、多くの勝者が生まれている。

何よりもまず、Founders Fund(ファウンダーズファンド)は2つの会社に共通する唯一の主要投資家であり、多くの資金を手に入れた。同社はAsanaの5.8%、Palantirの約6.6%を所有し、本日の評価に基づくとラフな計算で正味18億ドル(約1900億円)ほどの利益だ。

一方、BenchmarkはAsanaの9.3%を所有しており、そのほかのPalantirの大株主には、損保ジャパン、Disruptive Technology Solutions、UBS、および8社のVCがいる。

2社の創業者も勝者だ。Dustin Moskovitz(ダスティン・モスコヴィッツ)氏はAsana株の36%を、共同創業者のJustin Rosenstein(ジャスティン・ローゼンスタイン)氏は16.1%を保有している。Palantirでは、3人の創業者、Alex Karp(アレックス・カープ)氏、Stephen Cohen(スティブン・コーエン)氏、Peter Thiel(ピーター・ティール)氏が合わせて数十億ドル相当を手中に収めた。

Asana創業者のジャスティン・ローゼンスタイン氏とダスティン・モスコヴィッツ氏(画像クレジット:Asana)

もちろん社員も現金化を喜んでいる。Asanaはロックアップ期間を設けていないため、社員やインサイダーも自由に売買できる。Palantirはダイレクトリスティングにロックアップを組み合わせたため、今日の取引対象は同社株の28%ほどにすぎない。残りは来年にかけて売却が承認される。

市場閉鎖直後に実施したインタビューでモスコヴィッツ氏は「ワクワクする朝でしたが、最終的には私たちのミッション達成に向かう長い旅路の第一歩にすぎません」と語った。

わずか1日の取引日ではあるが、両社にとって明るく、かつ伝統的IPOがダイレクトリスティングやSPACなどの代替手法との厳しい競争に直面していることを証明する1日だった。

画像クレジット:Michael Nagle/Bloomberg via Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

業務管理プラットフォームのAsanaが直接上場へ

職場の生産性を高めるツールを展開しているAsana(アサナ)は2月3日、Form S-1(フォームS-1)を提出したことを発表した。そして声明文で、直接上場を通じて株式を公開する計画を明らかにした。

直接上場では、企業は新株を発行せずに上場することができる。既存の株主が保有株を任意の価格で売ることはできない。直接上場は上場に伴う手続きの煩わしさや費用を抑制する手段として、このところかなり話題になっている。Slackは2019年に直接上場し、 Spotifyもその前年に同様の手段をとった。Airbnbも直接上場に関心があると報道されている

Facebookの共同創業者であるDustin Moskovitz(ダスティン・モスコヴィッツ)氏とJustin Rosenstein(ジャスティン・ローゼンスタイン)氏が共同で設立したAsanaは、チームがタスクを割り当てたり、進捗状況を管理したり、プロジェクトの締切を設定したりできる、生産性を高めるためのソフトウェアを手がけている。

引受銀行に払う多額の手数料や長ったらしいロードショー(機関投資家への説明)、手続きに伴う当局とのやりとりをなくす手段として、直接上場はシリコンバレーの多くの人から称賛されてきた。昨年、ベンチャーキャピタリストのBill Gurley(ビル・ガーリー)氏は直接上場を勧めるカンファレンスを開催した。また、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は昨年11月に米証券取引委員会に直接上場での資金調達を可能にする提案申請を提出した。提案は数週間後に却下されたが、NYSEは直接上場プロセスを展開する意向を固めたようだ。

興味深いことに、AsanaはSlackやSpotifyよりもずいぶん小さな会社で、これまでに調達した資金も2社に比べるとかなり少ない。Crunchbaseによると、調達した資金は2億1300万ドル(約230億円)だ。2018年後半にAsanaはシリーズEで5000万ドル(約54億円)を調達し、バリュエーションは15億ドル(約1630億円)になった。直接上場によるデビューは、同社がおそらく持ち合わせの現金に満足していることを示している。

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(翻訳:Mizoguchi

業務管理プラットフォームのAsanaが自動化ツールを公開

米国時間10月17日、業務管理プラットフォームのAsanaが、日常的に繰り返すタスクを軽減する新機能のサービス開始を発表した。この新機能は「オートメーション」と呼ばれていて、ユーザーは「もしこうだったら、こうする」というオリジナルのルールを作成できる。さらにOCRツールや、このサービスの機械学習の能力を統合する新しいスマートテンプレートのほか、音声の文字起こしサービスも提供する。

Asanaのプロダクト担当トップのAlex Hood(アレックス・フッド}氏は次のように語る。「今年前半に我々は、チームがもっとアジャイルに仕事の計画、監視、管理ができるようにする『ワークロード』を導入した。今回のオートメーションではルーティンのタスクを自動化できるので、面倒な反復作業はAsanaに任せて仕事にもっとエネルギーを使えるようになる」。

ルールビルダーにはサービス開始時に70以上のルールがプリセットされているが、もちろんユーザーは独自のルールも作成できる。例えばこのサービスを使ってタスクを特定のチームメンバーに自動で送ることができる。同社が今回発表した新機能はすべてそうだが、このアイデアもチームを1日中振り回している「仕事のための仕事」を自動化するものだ。

新たに追加されたOCRと文字起こしのサービスは、AsanaのiPhoneアプリで利用できる。これももちろん自動化のためだ。ミーティングでの話やホワイトボードを簡単に取り込むもので、取り込んだデータはAsana内で特定のタスクに割り当てることができる。

スマートプロジェクトテンプレートも、Asanaの利用に関する作業を軽減する。同社は「これからはイベントプランニングやキャンペーンのローンチといったテンプレートを使えば、業務スケジュールを即座に仕上げられる。タスクの締め切りで問題が生じたらAsanaが自動で修正するので、プロジェクトやワークフローの準備にかかる時間が短縮され、仕事に多くの時間を使えるようになる」と説明している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Dropboxがエンタープライズ向けのコラボスペースとして再始動

Dropboxはファイルストレージシステムから、チームで協調して仕事をするためのエンタープライズ向けソフトウェアポータルへと進化しつつある。米国時間6月11日、同社はDropboxの新バージョンを公開した。G Suiteなどのアプリをショートカットで起動できるほか、Slackのメッセージを送信したりZoomのビデオコールをしたりする機能も搭載されている。デバイス上とエンタープライズのツール内のすべてのファイルを検索したり、コミュニケーションをとりチームの仕事にコメントを付けることもできる。ファイルに付けたTo Doリストにメモを追加したり同僚をタグ付けしたりする機能もあり、Dropboxはタスクマネージャーにもなろうとしている。

新しいDropboxは米国時間6月11日に、40万チーム、1300万人のすべてのビジネスユーザーに加え、コンシューマーユーザーにも公開された。ユーザーはここから先行アクセスに申し込むことができる。企業の場合は管理パネルで先行アクセスを有効にする。同社CEOのDrew Houston氏はミッションステートメントで「もっと素晴らしい働き方をデザインするために、我々はやり方を変える」と述べている。

Dropboxは、ファイルストレージのビジネス自体は終焉を迎えつつあると認めたようだ。ストレージの価格は下落し、どのアプリでも専用のストレージシステムを追加できる。Dropboxはエンタープライズ向けのスタックへと進化し、ほかのツールを開いてまとめるポータルになる必要があった。エンタープライズのコーディネーションレイヤーになることは賢明な戦略だ。Slackは自社でそうしたレイヤーを構築するのではなく、連携することを選んだようだ。

今回のアップデートの一環として、Dropboxは全ユーザーを対象とした新しいデスクトップアプリを提供している。これによりmacOSやWindowsのファイルシステムの中で動作する必要がなくなる。ファイルをクリックするとプレビューを見ることができるほか、そのファイルを誰が見たか、誰がいま見ているか、誰がアクセス権を持っているかのデータを表示することができる。

今回のリリースはSlackと深く統合されているため、Dropbox内でファイルにコメントを付けられる。Zoomとも統合されていて、ワークスペースを離れずにビデオチャットができる。Webとエンタープライズアプリのショートカットを活用すれば、さまざまなツールをタブで聞きっぱなしにしておく必要がなくなる。検索ツールも改良され、コンピュータのファイルシステムとほかの生産性向上アプリのクラウドストレージをすべて探せる。

しかし今回の変更で最も重要なのは、Dropboxがタスクマネジメントアプリになろうとしていることだ。ひとつひとつのファイルには、説明、ToDoリスト、タスクを割り当てるための同僚のタグが記録される。ファイルごとのアクティビティフィードには同僚からのコメントとアクションが表示されるため、GoogleドキュメントやSlackのチャンネルで別途共同作業をする必要はない。

連携する相手(SlackとZoom)と真似する相手(Asana)をどのように決めたかについて問われたビジネス部門担当副社長のBliiy Blau氏は基本的には返答を避けたが、Dropboxのパートナーの「共有の精神」を引き合いに出した。

サンフランシスコで開催された発表イベントの冒頭、Houston氏は、社員のコンピュータとクラウドに散らばっている企業の知識よりも公開されている情報のほうが見つけやすいと指摘した。コンピュータの「Finder」はポストダウンロード時代に対応した進化を遂げていない。Houston氏は、オフィスで仕事をしている時間のうち60%は、仕事そのものではなく整理やコミュニケーションといった仕事のための仕事に費やされていると説明した。これはタスクマネジメントのスタートアップ、Asanaがよく使うマーケティングの視点だ。DropboxはAsanaとこれからさらに直接戦っていくことになる。Dropboxは「我々はこうしたあらゆる『仕事のための仕事』をこなすお手伝いをしていく」としている。一方のAsanaは2013年以来、核となるメッセージとしてこのフレーズを使い続けている。

Dropboxはクラウドのためのファイルツリー、Finder、デスクトップを目指している。問題は、コメントやタスクを付けたファイルが常に仕事の中心的な単位なのか、あるいは注目すべきものはファイルが添付されたタスクやプロジェクトであるべきなのかだ。

Dropboxはコンピュータのデスクトップやブラウザに代わるワークスペースであると考えられるようにチームをトレーニングするには、しっかりした導入と粘り強さが必要だろう。しかし、もしDropboxがアイデンティティとなり、ばらばらのエンタープライズソフトウェアを結びつけるコラボレーションレイヤーになれるなら、ファイルストレージは生き延び、新しいオフィスツールが登場しても意義のあるものであり続けるかもしれない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Gmailがサードパーティー製アドオンに対応

本日(米国時間10/24)Googleは サードバーティー製Gmailアドオンへの対応を開始した。このネイティブな拡張によって、Asana、DocuSign、Wrikeなどのサービスを受信箱から直接利用できるようになる ―― 企業ユーザーでも個人ユーザーでも。

情報をフォローとしていた人ならこのニュースにはさほど驚かないだろう。Googleは3月のI/Oデベロッパーカンファレンスでこの機能がやってくることを発表した。その時はデベロッパープレビューのみだったが、その後いくつかのパートナーと協力してGmailネイティブ拡張の第一群が正式公開された。

スタート時のパートナーはAsana、Dialpad、DocuSign(近日公開)、Hire(Google製)、Intuit QuickBooks、ProsperWorks、RingCentral、Smartsheet、Streak、Trello、およびWrike。焦点は当然ながら生産性向上サービスで、ほとんどがすでにEメールと何らかのつながりを持っている。アドオンはGmailの右サイドパネルに表示される(残念ながらGoogleのもう一つのメールクライアントであるInbox by Gmailでは利用できない)。

Asanaの共同ファウンダー、Justin Rosensteinは、これで同社のタスク管理サービスに外部メールから簡単にタスクを追加できるようになる、と私に語った。またAsanaユーザーは、Asanaやほかのユーザーから送られたメールに書かれたタスクの詳細も見られるようになる。

大部分のほかのアプリも同様で、Trelloのアドオンはメールをアクション可能なタスクに変換することができ、RingCentralのアドオンは外部への通話やSMSメッセージの閲覧、発信が受信箱からできるようになる。

すばらしいのは、同じアドオンをAndroidのモバイルGmailアプリでも使えることだ。iOSについてGoogle広報は「iOSユーザーにGmailアドオンを提供できるようにAppleと作業中」と言った。ただし時期は未定だ。

TrelloのChromeベースのGmailプラグインに強く依存して半分正気を失いかけいる身として言えば、Gmailとのネイティブ統合が私の生活にゆとりをもたらしてくれることは間違いない ―― モバイル対応は特にそうだ。

新しいプラグインはG Suiteマーケットプレイスからインストールできる。開発者であれば自分の組織専用のアドオンを作ることも可能だ。このGmailアドオンはすでにマーケットプレイスにあるGoogle DocやSheet用アドオンと同様の位置づけになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook