米国時間2月22日にローンチされたTapは、チャットのような見た目で携帯電話上に物語を表示させるアプリだ。Tapを開発したWattpadは、作家のためのソーシャルパブリッシングプラットフォームを運営している。同社は世界中に4500万人もの読者を抱え、Wattpadユーザーはウェブサイトやモバイルアプリ経由で、約2億5000万種類の物語を読むことができる。
そしてWattpadはこの度リリースしたTapで、従来のフォーマットを離れ、ユニークな物語の楽しみ方を試そうとしている。
Tapユーザーは「チャットスタイル」で物語を楽しむことができる。つまり、ユーザーが文章をタップするたびに、だんだんとその先の物語が紐解かれていくような仕組みになっているのだ。Tap上の物語は、読者が他人のチャットのやり取りを覗き見ているようなイメージで書かれているとWattpadは説明しており、物語を読んでいるときのアプリの見た目もチャットアプリのようだ。
ローンチ時点では、ホラー、ロマンス、ドラマといったさまざまなカテゴリーの物語が数百種類も準備されている。
さらにTapユーザーは、自分でもチャットスタイルの物語を作れるようになるが、現在のところこの機能は同プラットフォーム上の一部の作家しか使えない。Wattpadによれば、数週間のうちに他のユーザーも執筆・出版機能を使えるようになる。
また、チャットスタイルで物語を読めることに加え、ユーザーはお気に入りの物語をソーシャルメディアで共有することもできる
Tapはフリーミアムモデルを採用しているため、WattpadはTapのリリースで、従来のプラットフォームに加えて新たな収益源を獲得したことになる。アプリと一部の物語は無料だが、有料プランも準備されており、有料ユーザーは限定コンテンツを含む全ての物語を読むことができる。なお料金は週額2.99ドル、月額7.99ドル、年額39.99に設定されている。
最近Wattpadは、UniversalやTurner、マンガ出版社らとの契約を通じて、ハリウッドやエンターテイメント業界とも関係を深めているが、Tapのサブスクリプションサービスで、すぐにもっと分かりやすい形で売上を拡大することができるかもしれない。
実はTap以外にも、似たようなサービスが最近誕生しており、Tapの競合でフィクション作品を扱うHookedはチャットスタイルのインターフェースと、執筆環境をユーザーに提供している。Amazonも子どもをターゲットに、Amazon Rapidsというチャット風インターフェースのサブスクリプションサービスを開始した。さらに広く見れば、Serial Box、Hardboundといったモバイル読書アプリや、さらには、短いコンテンツをやりとりできるという意味ではSnapchatのようなソーシャルアプリともTapは競合することになる。
しかしTapのサービスは、単に物語を切れ切れに表示させるのではなく、あくまで人のチャットを覗き見るようなスタイルをとっているため、読者は誰かの携帯で勝手にプライベートなメッセージのやりとりを盗み見ているような感覚を味わうことができる。この仕組みは、日常的にモバイルコンテンツを楽しみ、人とのやりとりにも主にモバイルデバイスを使っているティーンやヤングアダルト層にウケるかもしれない。
TapはApp StoreとGoogle Playから無料でダウンロードできる。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)