空席情報配信サービスのバカンが資金調達、海外展開に向け加速

前列左から2人目がバカン代表取締役社長の河野剛進氏

レストランなどの空席情報配信サービス「VACAN」を提供するバカンが、サンフランシスコを拠点にベンチャー投資を行うスクラムベンチャーズおよびREALITY ACCELERATORから資金調達を実施した。

調達金額は非公表とされているが、これまでの累計調達額は約1億円程度だと思われる。

同社は2016年10月にトイレ空席検索サービス「Throne」、2018年1月に空席検索プラットフォームVACANのサービス提供を開始。

VACANはレストランなどの混雑状況をセンサーやカメラを使って解析し、電子看板に表示するサービスだ。すでに商業施設の相鉄ジョイナスや日比谷シャンテに提供されているほか、駅ナカ施設などへの試験導入も行われている。相鉄ジョイナスと高島屋横浜店では、スマホやパソコンでも空席情報を確認することが可能だ

河野氏はVACAN開発の理由を「世の中から混雑や行列をなくすため」だと説明。「家族で出かけた時、ランチタイムでどこの店もいっぱいで、待っているうちに子供が泣いてしまい帰宅することに。そういうことを技術で解決できないかと思い、開発をスタートした」とそのきっかけについて話している。

河野氏いわく、「Throneは有楽町マルイや企業のオフィスにも採用されているが、類似サービスが出てきてしまった」とのこと。しかし同社は他にはない技術を持つことで、サービスを評価され採用されているという。

バカンが保有するのは混雑の条件によって表示を最適化する「VDO(Vacant-driven Display Optimization)」という技術の特許だ。この技術により、混雑の状況をフックに、デジタルサイネージの表示をリアルタイムに切り替えることができる。

例えば「レストランであれば、空きがあればそのまま表示し、混雑しているのであれば持ち帰りをおすすめする」ということができるそうだ。また「広告コンテンツに切り替えたり、リアルタイムでクーポンを発行したり」といったことも可能。「これは他社には真似できない」と河野氏は言う。

同社は今後、調達した資金をもとに海外展開に向けた準備を加速させていくという。

「開発体制を整えていくというのが大きなところ。あとは海外展開を見据えて例えば海外特許を出願していくということもあるし、営業も強化していく」(河野氏)

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TechCrunch Japan

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