最近の数年間でコンピュータービジョンの技術は大きく進歩しているはずだが、それでもなお、空港などの安全が重視される場所では、大量のX線撮影装置がさらに大量の人間の手を借りて、武器などの発見に使われている。
Synapse Technologyが作っているコンピュータービジョン技術の製品は、既存のX線マシンに付設するハードウェアアドオンで、本体機の保証を無効にすることなく、ニューラルネットワークを利用するアシスタントが、スキャン対象に対する‘視力’を増強する。
同社はこのほど、Founders Fundと8VC、およびVillage Globalがリードするシードラウンドで、600万ドルを調達した。
これまでの同社の主な対象は、政府の建物や学校など重要施設のセキュリティチェックだったが、本当はもっと大きな市場として空港をねらっている。空港も当然、同社の技術の市場だ。Synapseは現在、日本の成田空港でパイロット事業を行っており、同社によると、そのスキャナーにより禁止品目の検出率が従来に比べ14%増えたそうだ。
これまで500万あまりのバッグをスキャンしたが、今後は検出品目をもっと多様化していきたい、という。たとえば今同社は、その技術で3Dプリントされた武器を検出するテストを行っている。
Synapseの社長Ian Cinnamonは、本誌インタビューでこう語った: “これまでのX線マシンは物の判定を人間の目に頼ってきたから性能に限界がある。わが社のソフトウェアとAIは、人間よりも高い精度で武器を自動的に検出する”。
Synapseの技術は、機内手荷物の中の洗面用品をチェックするわけではない。現在の同社の技術は、銃や、ナイフのような鋭利な品物の検出にフォーカスしている。同社によると、空港の保安担当者たちの仕事が楽になるだけでなく、同社のAI技術により、今までは見つけられなかった大きな電子製品の中に隠されたオブジェクトを、彼らは見つけられるようになる。だから将来的に旅客は、自分のバッグの中にラップトップがあるだけではセキュリティチェックにひっかからなくなる。
空港の禁止品目は今どんどん増えているから、Synapseのねらいは人間労働者を置換することではなく、彼らが実際に調べなければならない品物の数を減らしてあげることだ。“わが社のアルゴリズムが活躍するようになればなるほど、人間労働者の能力もアップする”、とCinnamonは言っている。
今回の資金は、もっとさまざまな重要施設で同社のプロダクトが使えるようにするための技術開発と、新規雇用の増大に充てられれる。