米ファンドのSilver Lakeがインド大手通信Reliance Jio Platformsに約660億円追加出資

Silver Lake(シルバーレイク)は、インドのReliance Jio Platforms(リライアンス・ジオ・プラットフォームス)への賭け金を積み増す。米国のプライベートエクイティファンドであるSilver Lakeは米国時間6月5日、インドの大手通信事業者であるReliance Jio Platformsの6億ドル(約660億円)相当の株式を追加購入すると発表した。Reliance Jio Platformsは、世界的にパンデミックが猛威を振るう中、この2カ月足らずで122億ドル(約1兆3000億円)を調達した。

メンロパークに本社を置くSilver Lakeは先月、Reliance Jio Platformsに約7億5000万ドル(約830億円)を投資(未訳記事)した。追加の資本注入により、Jio Platformsへの出資割合は1.15%から2.08%に増加すると明らかにした。

Silver Lakeの新たな投資は、インドで最も価値の高い企業であるReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)の子会社Reliance Jio  Platformsにとって、この数週間で20%近くの株式を発行した一連の取引の7番目となる。アブダビに本拠を置く政府系ファンドのMubadala(ムバダラ)は6月5日の少し早い時間(現地時間)に、インドで最も裕福な人物であるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が経営するJioに12億ドル(約1300億円)を投資(未訳記事)すると発表した。Facebook、KKR、General Atlantic、Vistaも、Jio Platformsに対し投資家として小切手を切った。

この発表はさらに、世界第2位のインターネット市場への参入機会を探る外国人投資家に、3億8800万人以上の加入者を4年足らずで獲得したJio Platformsの魅力を伝えている。

メディアの報道によると、Amazon(アマゾン)はインドで第3位の通信事業者であるBharti Airtel(バハーティ・エアテル)の株式を少なくとも20億ドル(約2200億円)相当取得することを検討しており、Googleは第2位の通信事業者であるVodafone Idea(ボーダフォン・アイデア)と同様の取引(未訳記事)について協議を行っている。

Silver Lakeの共同最高経営責任者兼マネージングパートナーであるEgon Durban(エゴン・ダーバン)氏は、Reliance Jio Platformsへの最近の投資の勢いが「ビジネスモデルの説得力を証明しており、アンバニ氏や彼のチーム、そして彼らの大胆なビジョンを裏付けている。彼らは世界で最も素晴らしいテクノロジー企業を創り、成長させようとしている」と述べた。

「当社は投資金額を増やし、多くの共同投資家にこの機会を提供できることに興奮している。高品質で手頃な価格のデジタルサービスを消費者や中小企業に提供するというJio Platformsの使命をさらにサポートしていく」と付け加えた。

Silver Lakeは、資産とコミットメント合計で約400億ドル(約4兆4000億円)を管理しており、ビデオゲームエンジンメーカーのUnity、オーディオおよびビデオコミュニケーションサービスのSkype、コンサルタント会社のGartner、AlibabaのAnt Financial、コンピューター大手のDell、中国の配車サービス大手Didiなど、何十ものテック企業に投資している。

通信コンサルタント会社Com FirstのディレクターであるMahesh Uppal(マヘシュ・アパル)氏は「アンバニ氏が資金を調達しているのは、少なくとも一部は、石油小売の巨人であるReliance Industriesの210億ドル(約2兆3000億円)に上る純負債を2021年初めにはゼロにするためだ。株主にそう約束した」と語った。同社は2012年には無借金だったが、Jio Platformsの創業資金を賄うため融資を受けた。

「新型コロナウイルスのパンデミックの中で、Silver Lakeが5週間を待たずにJio Platformsへ再び投資することは、包括的なデジタル化により確実に大きくなるインド経済の強い回復力をしっかりと裏付けている、ということを強調したい」とアンバニ氏は声明で語った。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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