米国が対ミャンマー貿易協定を停止、同国でのインターネットアクセスも不透明に

ミャンマー国軍が同国の大統領と事実上の指導者Aung San Suu Kyi(アウン・サン・スー・チー)氏率いる政権を転覆させるクーデターを起こしてから2カ月、ミャンマー国軍の攻撃に反対する抗議者少なくとも200人が殺された事態を受け、米政府はミャンマーとの貿易協定を停止した。

声明の中で、米通商代表部の代表Katherine Tai(キャサリン・タイ)氏は、貿易停止は「すぐに発効し」「民主的に選ばれた政府が復帰するまで」続くと述べた。

「米国は、ビルマの経済成長と改革の基礎だった民主的に選ばれた政府を取り戻そうとしているビルマの人々を支援します」とタイ氏は述べた。「米国はビルマの治安部隊の市民に対する残忍な暴力を強く非難します。平和的な抗議者、学生、労働者、労働運動の指導者、医師、子どもの殺害は国際社会の良心に衝撃を与えました。こうした行動は国の民主主義への移行、ビルマの人々が平和で豊かな未来を成し遂げるための取り組みに対する直接的な攻撃です」と声明にはある。

ミャンマー(ビルマとしても知られる)と米国は、スー・チー氏の党が選挙で圧倒的勝利を収め、米国が経済制裁が緩めたのちの2013年に貿易を開始した

貿易停止は独裁軍事政権をターゲットとしているが、米クラウド・インターネット企業が米政府の命令と争っているなかで、ミャンマー中の何百万人というインターネットユーザーを不確実な状態に陥れている。抗議者たちは軍事政権が国中のインターネットを遮断したことを受けてネット接続を確保するのに苦労している。

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ミャンマーはすでにFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)を「次に通知するまで」閉鎖する措置を取った。

制裁は他国への商品、金、特定のサービスの提供を防ぐためのものだ。米国で事業を展開している企業は米国の制裁に従うか、厳しい罰金に直面する。ZTEは2017年に、故意にプロダクトをイランに出荷して米国の対イラン制裁に違反したことを認め、10億ドル(約1098億円)近くの罰金を払うことに同意した。

しかしクラウド企業はグレーゾーンで、異なるルール解釈がある。Quartzは2016年、IBMが米国の制裁対象国シリア、キューバ、イランからのビジターは自社のサービスにアクセスできないようにしたため、そうした国のインターネットユーザーはIBMがホストするサイトにアクセスできなかった、とレポートした

他の大手クラウドプロバイダーRackspace(ラックスペース)とLinode(リノード)は制裁対象国のユーザーへのインターネットトラフィックをブロックはしていないが、その代わり制裁対象国のユーザーが自社サービスにサインアップできないようにした。

ミャンマーのインターネットユーザーは同国の人口の30%ほどの約1700万人だ。

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画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

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