2021年に起こった米国会議事堂襲撃事件の記念日である米国時間1月6日に署名・提出されたSEC報告書によると、保守系ソーシャルメディアプラットフォームのParler(パーラー)が2000万ドル(約23億円)を調達した。登録ユーザー1600万人超とうたうこのアプリは、そのミッションを「ビッグテック、ビッグ政府、そしてキャンセル・カルチャーの権威主義の力」に抵抗することに焦点を当てたものだと説明している。このアプリはまた、超党派だと主張しているが、名誉毀損防止同盟や南部貧困法律センターを含む反ヘイト組織や研究者は、議事堂での暴動における役割から反ワクチン誤情報の拡散まで、極右情報エコシステムにおけるParlerの影響力に注意を向けている。
新たな投資家が誰なのか、Parlerはコメントのリクエストに応じていないが、申請書によると、10人の非適格投資家が今回出資しているとのことだ。前回の額非公開のエンジェルラウンドでは、共和党の主要政治献金者であるRebekah Mercer(レベッカ・マーサー)氏が資金を提供した。マーサー氏は、提出報告書に執行役員および取締役として記載されている。また、保守系風刺サイトBabylon BeeのCEOであるSeth Dillon(セス・ディロン)氏も取締役に名を連ねている。
Axiosがこの報告書に最初に気づき、AxiosもまだParlerからコメントを得ていない。
Parlerは、2021年1月6日の暴動の頃に、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)などのソーシャルメディア企業がDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領を自社のプラットフォームから追放したことで注目されるようになった。この禁止令は、トランプ氏が自身のフォロワーを利用して、大統領権力の平和的な移行を妨害しているという懸念から、再三の警告を経て実行された。
トランプ氏が主流のソーシャルプラットフォームから姿を消したことに触発され、同氏の支持者の多くが、コミュニティガイドラインがそれほど厳しくないParlerに集まった。Parlerは議事堂攻撃の数日後にApp Storeでランキング1位に上昇したが、2021年1月8日にGoogle Playから削除された。Amazon(アマゾン)と(Apple(アップル)もすぐに、利用規約違反を理由にプラットフォームからParlerを削除した。両社は、このアプリがトランプ氏の支持者や他の極右ユーザーによって、暴力を呼びかけ、議事堂を襲撃する計画を組織するために使用されていたと述べた。
「Parlerは、人々の安全に対するこうした脅威が拡散していることについて、適切な対策を取りませんでした。当社は、Parlerがこれらの問題を解決するまで、App Store利用を停止します」と、Appleは禁止措置の際にTechCrunchに述べた。
Parlerの当時のCEOであるJohn Matze(ジョン・マッツェ)氏は、App Storeからのコンテンツモデレーション改善計画の提出要求に協力しない、と自身のParlerアカウントに投稿した。しかし、同氏は1月29日、マーサー氏が支配するパーラーの取締役会から解雇された。4月には、新CEOのGeorge Farmer(ジョージ・ファーマー)氏のリーダーシップのもと、ParlerアプリはApp Storeに復活した。
ファーマー氏は最近のニューヨーク・タイムズとのインタビューで、Parlerが自身の着任前にApp Storeから削除されたとき、アプリにはAIによるモデレーションがなく、人間のモデレーションのための仕組みである陪審システムも初期段階だったと説明した。
ファーマー氏によると、自身のリーダーシップの下、ParlerはApp Storeから削除された時点では搭載していなかったAIコンテンツモデレーションを実装した。今回の2000万ドルの追加資本注入は、Parlerが人間のモデレーションと並行して使用するこのフィルタリング技術の構築を継続するのに役立つかもしれない。また、Parlerのコミュニティガイドラインには現在、同アプリが「犯罪、民事上の不法行為、その他の不法行為のためのツールとして使用されることを故意に許可しない」と明記されている。
Sensor Tower(センサータワー)のデータによると、Parlerのモバイルアプリはリリース以来、全世界で約1130万回ダウンロードされた。2021年5月にParlerがApp Storeに復帰してから現在までの間に、同アプリのダウンロード回数はわずか14万1000回にすぎないと、Sensor Towerは指摘している。Parlerが発表している登録ユーザー1600万人超という数字が正確であれば、大半は元々のモバイルアプリからParlerにアクセスしていることになる。
Parlerは、2月21日の大統領の日に立ち上げられる予定のトランプ氏自身のソーシャルネットワークTRUTH Socialという新たな競争相手を間もなく得る。
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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi)