専門知識不要で使えるクラウド統計分析ツールを手がけるサイカは15日、総額2億円の資金調達を実施したと発表した。同社は2013年10月、企業が持つデータに潜む関連性を見つけられるツール「adelie」を公開。売上という「成果」に対して、CM放映回数、チラシ配布枚数、天候などの「要素」が、お互いにどのように影響したのかを自動抽出してくれる。
例えば、アパレル販売メーカーが導入した場合、CM放映後に売上が100万円アップ、チラシ配布週に売上が10万円アップ、天候は売上と無関係……といったことを分析。これによって、経験の裏付けや盲点の発見、未来の予測ができるようになるわけだ。
通常、統計分析をするには専用ツールだったり、成果と要素の関係を読み解く専門家が必要。一方、adelieは企業が持て余すExcelデータをインポートするだけで、相関するデータを自動抽出するのが特徴。ヤフーやリクルート、GUなど40社以上が導入している。
営業マンの「行動の効果」を数字で表す
2014年1月には米Salesforceなどを引受先として、1億円の資金調達を実施した。以降、Salesforceのクラウド型営業支援ツール「Sales Cloud」と連携し、営業マンの行動データに基づいて最適な行動を提示するツール「Rockhopper」を開発。今月リリースした。
Rockhopperは、セールスパーソンの「行動の効果」を数字で示す営業支援ツール。例えば、家電量販店向けにルートセールスする企業が導入した場合、「売場作成」「商談」「店頭での接客」などの行動と、それに費やした時間をプルダウンメニューから入力する。これにより、「売場作成は1時間につき800円の効果」「接客は成果への影響なし」といったことがわかる。
セールスパーソンにとって、活動記録を逐一報告しようとすると、本業が圧迫されてしまうことも少なくない。Rockhopperは行動記録に最適化したインターフェイスを採用したことで、日々の報告業務の負担を軽減。すでに導入した大手電機メーカーでは、行動データの入力率が23%から97%にも上がったのだという。
現場で記録されたデータは、アプリ上で一覧可能。営業マネージャーは分析結果を見ながら改善点をアドバイスできる。アプリ上で「ノウハウを学ぶべき営業マン」と「ノウハウを教えるべき営業マン」をリコメンドし、マッチングする機能もある。
今回調達した資金は主に、Rockhopperの開発に投入。エンジニアや、adelieやRockhopperを導入した企業向けのサポート要員も増やす。増資に伴い、リードインベスターを務めたDraper Nexus Venture Partersに在籍する倉林陽氏がサイカの取締役に就任している。倉林氏はSalesforceの元日本投資責任者。サイカとしては、ベンチャー経営やSaaS事業の知見を得る狙いがあるようだ。
サイカは2013年11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登壇し、マイクロソフト賞を受賞している。