自動操縦フライトスタートアップのXwingが約43.5億円の資金を調達

Xwingのデモ飛行中、安全パイロットは操縦桿から手を離している(画像クレジット:Xwing)

Xwing(エックスウイング)は、商用貨物輸送機によるゲート・ツー・ゲートの自動操縦デモンストレーション飛行を初めて成功させてから2カ月後、もう1つの成功を収めた。同社は米国時間4月15日、4000万ドル(約43億5000万円)の資金を調達したと発表した。

同社はこの資金を使って、エンジニアリングチームを3倍に増やすだけでなく、最終的には完全に無人の商用貨物輸送機を定期的に飛行させることも視野に入れ、事業の拡大を目指している。

Xwingは、広く使われているCessna(セスナ)の「Grand Caravan 208B(グランドキャラバン208B)」などの航空機を、自動操縦で飛ばすための技術を開発してきた。しかし、それにはまず「知覚の問題、計画の問題、制御の問題」といういくつかの問題を解決しなければならなかったと、創業者のMarc Piette(マーク・ピエット)氏は説明する。これらの問題を解決するために、同社は一連のソリューションを考え出した。LiDAR、レーダー、カメラを飛行機に搭載し、舵やブレーキなどを制御するサーボモーターに改造を加え、これらすべてを適切に連携させることで、飛行機が空間内で自分の位置を理解し、自律的に飛行することを可能にした。

同社のAutoFlight(オートフライト)システムは、すでに200回近くのミッションをこなしているが、これらのフライトでは、安全のために人間のパイロットも同乗している。また、コントロールセンターには地上管制官が常駐し、自律飛行する航空機と人間の航空管制官との間を取り持つ役割を担う。

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「私たちは、自然言語処理を行ってコンピューターが管制官に応答するというような、(管制官との通信を)自動化することは想定していません」と、ピエット氏はいう。「安全性が最重要視されるアプリケーションでは、そのような方法は有用ではないと考えています。私たちが取っている方法は、航空機に代わって航空管制官と会話できる地上オペレーターを管制室に配置することです。これなら航空管制官にとってなんの障害もありません。管制官にしてみれば、航空機に乗っているパイロットと話すのと変わりませんから」。

画像クレジット:Xwing

自動操縦飛行に関しては、Xwingは米連邦航空局から研究開発用の実験的耐空証明書を取得しており、2020年8月にはOPA(optionally piloted aircraft、操縦士による操縦をオプションで可能とする航空機)用の特別飛行許可も取得している。

同社では、最終的には人間のパイロットを乗せずに飛行することも検討しているが、それは完全な安全の冗長性が確保されてからでなければならないと、ピエット氏は付け加えた。そのためには、すべてのセンサーやコンピューターシステムの冗長性を確保する必要がある。飛行機に乗る私たちにとって幸いなことに、商業航空の安全レベルは非常に高い。それは、航空スタートアップに求められる耐空性基準が高いことを意味する。XwingがターゲットとしているようなクラスIIIの小型航空機は、致命的な故障のリスクが1億飛行時間あたり1回以下であることを証明しなければならない。

Xwingの活動は、投資家からの注目も集めている。今回の資金調達ラウンドは、Blackhorn Ventures(ブラックホーン・ベンチャーズ)が主導し、ACME Capital(アクム・キャピタル)、Loup Ventures(ループ・ベンチャーズ)、R7 Partners(アールセブン・パートナーズ)、Eniac Ventures(エニアック・ベンチャーズ)、Alven Capital(アルブン・キャピタル)、Array Ventures(アレイ・ベンチャーズ)が参加。今回のラウンドを含め、同社はこれまでに総額5500万ドル(約60億円)の資金を調達している。

自動操縦飛行はXwingの事業活動の一部に過ぎない。同社は2020年12月1日に締結された大手物流会社との契約に基づき、有人による商業貨物輸送機の運航も行っている。

「私たちは、事実上の航空会社を設立したのです」と、ピエット氏はいう。Xwingは航空機にセンサーを取り付けてデータを収集することで、貴重な飛行時間を訓練アルゴリズムに反映させたり、パイロットが管制官と交信する頻度や航空機が受ける指示の種類などの有用なデータを収集している。

Xwingは事業の拡大と並行して、今後12カ月の間に従業員の大幅増員も予定している。技術面では、米連邦航空局から実験的な許可と免除を受け、人間の安全パイロットを同乗させた自動操縦による商業貨物便の運行を目指している。このマイルストーンも、今後12カ月以内に達成できるだろうと、ピエット氏は述べている。その後は人間のパイロットを外すことも検討しているが、その場合も空域における移動の制限を完全になくすためには、システムが認証を受ける必要がある。

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画像クレジット:Xwing

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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