自動運転開発のAuroraが外部専門家による安全評価の諮問委員会を設置

2020年にUber ATGを買収した自動運転車両開発のAurora(オーロラ)が外部専門家のチームを作り、自己評価安全報告書の運用についての新たな詳細を公開した。そしていつか道路を共有したり、実際に使ったりする自動運転テクノロジーを警戒している消費者の信頼を獲得するための幅広い取り組みの一環としてウェブサイトを立ち上げた。

Auroraは米国時間6月3日、安全への全体的なアプローチに外部の視点を取り込み、進展並びに記録を当局や社会と共有する最善の方法に関する体制とアドバイスのギャップを探すべく、航空安全、保険、そして医療と自動車の安全の専門家(全員ニッチなAV産業外の出身だ)の協力を仰ぐことを明らかにした。こうした専門家による諮問委員会は、路上テストや開発などを含むAuroraの既存の安全に関する取り組みを増強するためのものだ。

「『我々が作れば、彼らは使うにようになる。iPhoneを見ればわかる』といった『Field of Dreams』的な分析をしていたと思います」とAuroraの安全責任者、Nat Beuse(ナット・ビユーズ)氏は最近のTechCrunchとのインタビューで語った。「我々は常にこうした他のコンシューマー向け製品と比較しています。それが実際に米国のあらゆるコミュニティにおける消費者のマインドをつかむものなのか、確かではありません」。

以前Uber ATGで安全チームを率い、その前には米運輸省で自動運転車両開発を監督していたビユーズ氏は、人々を運ぶロボタクシーであれ貨物を運搬するトラックであれ、最終目的はドライバーレスの車両が広く受け入れられることだと述べた。それはテクノロジーが安全だということを測定して社会に示すことができなければ達成し得ない、と語った。

「たとえごく少数でも自動運転車両に接する人が懸念を抱えれば、このテクノロジーの恩恵、広範な使用、有益な方法で我々の暮らしにもたらしえる抜本的な変化や影響を目にすることはないでしょう」と話した。「(社会の信頼を獲得するために)我々はさらに取り組まなければなりません。そうした信頼の獲得は政府とともに行うべきです」と付け加えた。

「『産業界が作っているのだから、自分たちで問題を解決しろ』というのが今までの考え方だったと思います。しかしこれはパートナーシップだと真に思います。もちろん、我々がテクノロジーを作っていて、大きな責任を負います。しかし政府もまた、我々が一般の人を参加させるようにするのを手伝うという非常に大きな役割を担っています」。

安全諮問委員会のメンバーには Intelligent Transportation Society of Americaの会長兼CEOのShailen Bhatt(シャイレン・バット)氏、Boeingで運航安全性を担当した元チーフパイロットDave Carbaugh(デイブ・カーボー)氏、Edge Case Researchの主席エンジニアでイノベーション戦略家のVictoria Chibuogu Nneji(ビクトリア・チブグ・ネジ)氏が含まれる。他のメンバーには、Biologueの会長で米運輸省道路交通安全局の元行政官であるJeff Runge(ジェフ・ルンゲ)氏、HITCH42の業務執行社員で米国道路安全保険協会の元会長のAdrian Lund(アドリアン・ルンド)氏、GHS Aviation GroupのCEO、George Snyder(ジョージ・スナイダー)氏がいる。

すでに会合を持った委員会は「テックに熱中していない」人で構成されている、とビユーズ氏は話した。

Auroraや業界他社にとって最も大事なことは、ドライバーレス車両に関して「どれくらい安全であれば十分に安全なのか」という漠然とした問題に答えることだ。これまで浸透して批判されるようになったメトリックは車両の走行距離と「ディスエンゲージメント」あたりの走行距離を比較するものだ。ディスエンゲージメントというのは、人間の安全オペレーターがコンピューターで動く車両を操作することを意味する業界用語だ。

「それは真のメトリックではない、とかなり自信を持って言えます。というのも、駐車場で運転してもインターラクションを生み出すことができ、それは街中を走行するのとはかなり異なるものだからです。高速道路を走行するのともだいぶ違います」とビユーズ氏は説明した。

Auroraは自動運転技術の業界団体Automated Vehicle Safety Consortium(AVSC)に加盟している。他にDaimler、Ford、GM、ホンダ、Lyft、Motional、SAE、トヨタも名を連ねているAVSCはより良いメトリクスの検討に取り組んでいる。新たに設置されたAuroraの安全諮問委員会はAVSCのプロジェクトとは直接協業していないが、取り組みを支えるかもしれない一般的なガイダンスを提供している。

こうした新たなメトリクスを認証するにはまだすべきことがたくさんあるが、Auroraの安全諮問委員会はかなり有望だと考えているものをいくつか持っている、とビユーズ氏は話した。

関連記事
自動運転車開発のAuroraが買収したUber ATG従業員の大半にオファー、ただし研究開発ラボは対象外
Auroraがトヨタ、デンソーと自動運転ミニバン「シエナ」を共同開発
自動運転のAuroraがLiDARスタートアップを買収、自動運転トラックの普及へ向け開発加速
自動運転技術のオーロラがボルボと提携、高速道路を自律走行するトラックの製造を目指す

カテゴリー:モビリティ
タグ:Aurora自動運転

画像クレジット:Aurora

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。