自然言語処理ライブラリをオープンソースで提供するHugging Faceが43.6億円調達

Hugging FaceがシリーズBで4000万ドル(約43億6000万円)を調達した。Additionがラウンドをリードしている。同社は、オープンソースの自然言語処理(NLP)ライブラリを開発してきた。GitHubにそのTransformersライブラリはあり、4万2000のスターと1万のフォークがある。

米国時間3月11日に行われた投資にはLux CapitalやA.Capital、Betaworksなど、これまでの投資家も参加。さらにDev Ittycheria(デヴ・イッティケリア)氏、Olivier Pomel(オリヴィエ・ポメル)氏、Alex Wang(アレキサンダー・ワン)氏、Aghi Marietti(アギ・マリエッティ)氏、Florian Douetteau(フロリアン・ドゥエトー)氏、Richard Socher(リチャード・ソーチャー)氏、Paul St. John(ポール・セント・ジョン)氏、Kevin Durant(ケビン・デュラント)氏そしてRich Kleiman(リッチ・クレイマン)氏らも参加した。

TransformersではBERT、GPT、XLNet、T5、DistilBERTなどの、よく使われているNLPのモデルを利用でき、これらのモデルを使ってテキストを、テキストの分類、質問への自動回答、テキストの生成などの処理といったいろいろなやり方で操作できる。

NLPのユースケースは極めて多い。現在多いのは、チャットボットのサポートだ。たとえばチャレンジャーバンクのMonzoは、Hugging Faceを楽屋裏で使って顧客からの質問に答えている。Hugging Faceを使っている企業はおよそ5000社あり、用途はさまざまだ。Microsoftは同社の検索エンジンBingに使っている。

ビジネスモデルとしては、同社は最近、優先順つきのサポートを立ち上げ、プライベートなモデルを管理したり、推論APIを提供したりしている。BloombergやTypeformも顧客となっている。

同社は今回新たに得た資金で、ニューヨークとパリの従業員数を3倍にする。その中にはリモートで仕事をする従業員もいる。同社が以下のように、銀行口座の詳細の一部を共有していることは少々興味深い。

Hugging Faceは、2021年1月と2月のキャッシュフローがポジティブだった。同社は1年あまり前に1500万ドル(約16億3000万円)のラウンドを実施したが、そのとき得た資金の90%は現在も同社の銀行口座にある。それ以降、同社の評価額は5倍になった。実際に調達の必要がないときは、そのことが交渉で好条件になるため、意外なことでもない。

同社はNLPデベロッパーの活気に満ちたコミュニティの世話をしているため、正しい路線上にあるといえる。モデルデータセットを閲覧でき、デベロッパーはそれらを利用したり寄与貢献したりして、Hugging FaceはNLP愛好家の要となる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Hugging Face資金調達自然言語処理オープンソース

画像クレジット:Hugging Face

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

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