ドイツのパーツサプライヤーのRobert Bosch(ロバート・ボッシュ)は現地時間6月7日、10億ユーロ(約1332億円)を投じたチップ工場をドイツ・ドレスデンに開所した。同社にとってこれまでで最大の投資だ。主に車産業の顧客に供給する同工場はコネクテッドEV(電気自動車)が定着しつつあることを如実に示している。
「どのパワートレインかにかかわらず、我々は常に半導体とセンサーを必要としています」と同社の車エレクトロニクスを担当する上級副社長Jens Fabrowsky(ジェンス・ファブロースキー)氏はTechCrunchに語った。
工場は半導体製造プロセスで最前線の処理、つまりウェハファブを行う。300ミリメーターのウェハは半導体のパッケージングと組立のために通常アジアの提携企業に送られる。
300ミリメーターは「テクノロジーの新しいフィールド」だとファブロースキー氏は説明した。Boschのドイツ・ロイトリンゲンにある工場で製造される150ミリメーターあるいは200ミリメーターのウェハとは対照的に、大きなサイズのウェハは1つでより多くのチップを製造することができるため、規模の経済性が向上する。
広さ7万7500平方フィート(約7200平方メートル)の工場はBoschがいうところの「AIoT」で操業する。この言葉は、同工場の特徴である完全に接続されデータ主導のシステムを示すために人工知能(AI)とIoTを組み合わせたものだ。Boschは約100台のマシーンでリアルタイムのデータを動かすだけでなく、電気や水、他の要素でも1秒あたり最大500ページの情報を持つ、とファブロースキー氏は話した。AIで駆動するアルゴリズムはコネクテッドセンサーからすぐさま異変を感知する。
かなり高度なオートメーションにもかかわらず、工場はフル操業となれば700人を雇用する。
この工場が現在続いている世界的な半導体不足の解決に貢献するかは不明だ。半導体不足により、General Motors(ゼネラル・モーターズ)やFord(フォード)などの車メーカーは製造量の抑制と製造施設の一時休止を余儀なくされた。
「当社が工場建設を決めた時点では、建設理由は純粋にテクノロジーでした。300ミリメーターを製造する必要があったのは明らかで、キャパシティ拡大に投資する必要もありました」とファブロースキー氏は話した。
工場は7月にパワーツール向けチップの製造を開始し、9月から車向けチップに取り掛かる。半導体チップを製造するのに、ウェハ施設だけで600もの工程があり、通常20週間以上かかると同氏は説明した。
Boschはロイトリンゲン工場のクリーンルーム施設を拡張するのに5000万ユーロ(約66億円)投資する、と同社役員のHarald Kroeger(ハラルド・クローガー)氏は6月7日の記者会見で述べた。
Boschは、工場建設のための支出を最大2億ユーロ(約266億円)助成するドイツの連邦経済エネルギー省のマイクロエレクトロニクス投資プログラムに適用を申請した。資金を受け取るには支出の証明を提出しなければならない、と広報担当は説明した。
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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Bosch、ドイツ、工場、EV、半導体
画像クレジット:Bosch
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi)