FAA(連邦航空局)のドローン登録データベースが今週、連邦控訴裁判所の裁定で大きな問題にぶつかった。裁判所はドローンのホビイストJohn Taylorの、今の法律では模型のドローンが属する分類〔規制対象機種の分類〕が決まっていない、という説を受け入れたのだ。
Brett Kavanaugh判事はこう声明している: “Taylorは、FAAには彼に登録規則を適用して登録を要求する法的権限があると考えていない。Taylorは正しい”。
裁判所は、ドローン登録データベースが2012年のFAA Modernization and Reform Act(FAAの現代化と改革に関する法律)に違反している、と主張した。その法律は、“模型の航空機に関してはいかなる規則も規制も公布しない”、と言っている。
そのデータベースは、アメリカにおけるドローン保有者の増大に対応するために、2015年に提案された。ドローンの増加は政府に、プライバシーと安全性に関するさまざまな懸念をもたらした。FAAは今回の裁定について控訴するか、別の方法で同様のシステムをセットアップすることを選ぶだろう。
FAAのスポークスパーソンはこう語る: “連邦控訴裁の裁定はドローンの登録制と関連しているので、細心に検討している。FAAは、ドローンが安全に操縦され、セキュリティやプライバシーの脅威をもたらさないために、登録制と操縦に関する規制を設けている。われわれは目下、裁定に対するわれわれの選択肢と対応を考慮中である”。
ドローンの国際的な業界団体Association for Unmanned Vehicle Systems International(AUVSI)も、裁定に不満だ。同団体のCEO Brian Wynneは、次のようなコメントを本誌にくれた:
AUVSIは、レクリエーション用の無人航空機(unmanned aircraft systems, UAS)の登録に関するFAAの規則を認めないとする、アメリカ連邦控訴裁判所の決定に幻滅している。UASの登録は、国の空域を利用する者の責任と義務を明確にし、不注意で粗暴な行動を抑止して安全の文化を作り出すために重要である。われわれは、有人と無人の両方を含む航空界全体にまたがる継続的責任を確立するために、議会と協力して法的解決策を策定する計画である。
ドローンの売れ行きはアメリカで急成長している。NPDによると、2016年2月からの1年間で、それまでの全売上に相当する台数が売れている(すなわち一挙に倍増)。その、FAAの規則ができてからの1年間で、登録台数は55万台、登録料は5ドル、そして違反者は罰せられる。
このたびの裁定は、規制を制約と感ずるホビイストにとって勝利と見なされるが、今後ホビイスト向けの小型機種を出すと予想されているDJIなどのドローンメーカーは、この件ではFAAに同調している。
“ドローンの登録に向かってのFAAの革新的なアプローチは、きわめて合理的である。登録はドローンの操縦者に責任と教育をもたらす”、DJIの法務担当VP Brendan Schulmanは、本誌宛の声明でそう述べている。“FAAのプログラムを妨害する法的問題は、業界と政策立案者双方の協力で解決されることを、期待する”。