量子コンピューティングの初の一般商用化をねらうRigetti Computingが$2.5Mのシード資金を獲得

これまで研究室やSFの話題だった量子コンピューティングがついに、その可能性を追究する技術から、商用のハードウェアの上で実際に仕事をする技術へと脱皮する。

Y Combinatorの今のバッチの一員であるRigetti Computingは、量子コンピューティングを軸とするコミュニティの育成をリードする企業の一つになることを、志願している。創業者でCEOのChad RigettはIBMやイェール大学の上級研究員だった人で、同社は、シミュレーションによる(量子コンピューティング用プロセッサの)プロトタイピングを反復することにより、この分野に継続的な性能の向上をもたらそうとしている。

Rigettの説明によると、同社が今後数年間の挑戦課題としているいくつかの問題解決が達成されれば、量子コンピューティングの性能の事前予測とコスト削減が可能になる。それらの問題の多くはハードウェアの量子的側面とは無関係なので、各回の反復で新たな回路を作ることなく、シミュレーションソフトウェアAnsysを使って、変更部分の迅速なテストができる。

4月にRigettiは、同社のシミュレーションを使用するテストの成果を投資家たちから評価され、AME Cloud VenturesやMorado Ventures、Susa Ventures、Tim Draperなどから250万ドルのシード資金を獲得した。その資金で同社は、バークリーの小さなオフィスから、もっと仕事のしやすいコンピューティングラボに移り、この分野の優秀な研究者たちをスカウトしたいと考えている。Rigettiは曰く、チーム編成には細心の注意をもって臨み、この技術分野における上位1〜2%の最高のPhDたちをつかまえたい、と。実際に今探りを入れている研究所や企業などの名前を挙げられないのは、同社の今後の研究の内容や方向性を外部に悟られないためだ。

今後数年間の(シミュレーションによる)プロトタイピングにより、Rigetti Computingは量子コンピューティングのための信頼性の高い、スケーラブルな、そして他社に比べて低コストなプロセッサを作れるようになり、それにより商業的なビジネス展開を図る予定だ。量子コンピュータが従来のプロセッサよりも桁違いに速いと言われている分野は、新薬や新素材開発のための化学反応シミュレーションや、今よりもずっと高度な人工知能、それに暗号技術などだ。

今すでに量子プロセッサを使っていると称するマシンがあることはあるが、それらはまだ、従来型のコンピュータを舞い上がる砂塵の中に遠く置き去りにするほどの、目覚ましい高速性を実現していない。Rigettiによると、二つの理由により、それももうすぐ変わるだろう、という。ひとつは、小型中型の量子コンピュータのための新しいアプリケーションの開発が急速に進んでいること。もうひとつは、量子マシンの計算力とシステムのサイズが飛躍的に成長していることだ。

Rigetti Computingの将来性は、同社がこの二つの波にうまく乗れるか否かにかかっている。量子コンピュータのためのソフトウェアの構築は、アプリケーションをPCからスマートフォンに移植するためにAPIに変更を加えるといった、簡単な話ではない。まず、自分が開発した最良最速と自負するハードウェアを、見込み客たちの胸元に押し付けることから、仕事が始まる。ユーザの手中にハードが実際にある、という状態の実現が早ければ早いほど、量子コンピューティングの違いを見せつけるソフトウェアの開発動機を、多くのソフトウェアデベロッパが持てるようになる。ハードの普及とソフトウェアの開発という両輪が順調に回転するようになれば、その後の成長にはほとんど限界がない。量子コンピュータは(理論的には)、1+1=2倍ではなく、1+1=2乗倍と言われる、文字通り指数関数的なスケーラビリティの世界だから。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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