韓国のロボアドバイザーFountがAIベースのプラットフォームを進化させるために37.9億円を調達

韓国のロボアドバイザースタートアップのFount(ファウント)が、機械学習をベースにしたプラットフォームの開発とスタッフの雇用を強化するために、3340万ドル(約37億9000万円)のシリーズCラウンドを実施した。

今回のラウンドは、Hana Financial InvestmentがNice Investmentとともに主導した。これまでの支援者だったSmilegate Investment、KT Investment、Shinhan Capital、Korea Development Bankも参加している。

CEOのYoungbeen Kim(キム・ヨンビン)氏がTechCrunchに語ったところでは、今回のシリーズCにより、資金調達総額は約5850万ドル(約66億3600万円)となり、同社の評価額は現在2090億ドル(約23兆7000億円)に達したものと推定される。

同社は今後3年間に約8500万ドル(約96億4000万円)の追加投資を行い、技術開発を続けていく予定だとキム氏は付け加えた。

2015年11月にキム氏によって設立されたFountは、2016年2月に最初のベータ版ロボアドバイザーサービスを開始した。その翌月には、Fountの顧問であるJim Rogers(ジム・ロジャース)氏が同社に投資した。

投資の助言の提供に対する規制当局の承認を2017年11月に得た後、Fountはモバイルアプリを2018年6月に立ち上げている。

今回のパンデミックをきっかけに、ロボアドバイザーなどの非接触型投資サービスを利用して、緊急時の資金を準備したり、資産を増やして老後に備えるための投資ポートフォリオを作成したりする動きが活発化している。現地メディアの報道によれば、Fountを含む韓国のロボアドバイザーのスタートアップ3社の2021年1月における運用資産額が、前年同月比402.9%増で合計10億ドル(約1134億円)を超えたという。

Fountの運用資産は、2021年3月時点で7億3000万ドル(約828億1000万円)を突破した。プレスリリースによると、同社のコア市場は、ミレニアル世代の約66.8%を含む20~49歳の人々だ。

同社のAIを搭載したプラットフォームは、資産を増やすためには投資をする必要があるとわかっていながらも投資についてよく知らない人のために、アルゴリズムとデータを使ってユーザーに代わって投資を行う。

FountのAIベースのプロダクトBlueWhale(ブルーホエール)は、5万2000件以上の世界の経済データや市場指数を分析し、カスタマイズされた分散投資ポートフォリオを自動的に提案しする(後に必要に応じてリバランスすることもできる)。

同社は、主幹事投資家であるHana Financial investment(ハナ金融投資)、Samsung Life Insurance(サムスン生命保険)、MetLife(メットライフ)、Hyundai Motor Securities(現代自動車証券)など、韓国を拠点とする約20社のB2B顧客を通してロボアドバイザーサービスを提供している。また現在他の金融機関との提携も検討しているといい、2021年6月時点での登録ユーザー数は26万人としている。

Statista(スタティスタ)のレポートを引用した同社の声明によれば、世界のロボアドバイザーの運用資産は、2021年の1兆3700億ドル(約155兆3400億円)から2025年には2兆8000億ドル(約317兆4900億円)に増加すると予想されている。また韓国内のロボアドバイザーの運用資産は、2021年の83億6000万ドル(約9476億円)から2025年には250億ドル(約2兆8400億円)にまで拡大すると予想されている。

キム氏は、海外展開についての質問に対し、現在は国内市場に焦点を当てており、世界に普及させるための具体的な計画はないと答えている。

関連記事:インドネシアのロボット投資支援アプリBibitが約31億円を調達、セコイア・キャピタル主導

画像クレジット:fount

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。