駐車場のシェアリングサービス「akippa」を運営するakippa(2015年にギャラクシーエージェンシーより社名を変更)は1月29日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(1月に発表された5号ファンドの1号案件)、トリドール(2015年4月設立の投資子会社「TDインベストメント」からの出資)、朝日放送(2015年12月に発表された投資子会社「ABCドリームベンチャーズ」のファンドの第1号案件)、ディー・エヌ・エー(追加出資)の4社を引受先とした総額約6億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達した資金をもとに人材の採用を加速するほか、PRや駐車場獲得のための施策を進める。
2014年に大阪でサービスをスタートしたakippa。個人や法人が所有する駐車場の遊休スペースと、一時的に駐車場を探しているユーザーをマッチング。1日単位で駐車場をレンタルできるサービスだ。駐車場の所有者には、駐車料金の60%が入る仕組みとなっている。
現在akippaが持つ駐車場は4410拠点。これは業界第1位のタイムズ(約1万5000拠点)、第2位の三井のリパーク(約1万拠点)に次ぐ数字になっている。akippaでは現在月に600拠点のペースで新規開拓を進めており、2017年内にも業界ナンバーワンの拠点数を目指す。駐車場のシェアは旅館業法などの絡む宿泊施設のシェアリングとは異なり、貸し主にとっても参加に心理的なハードルが低いのだとか。
東急電鉄や住友不動産、三菱地所、大阪市など、法人や自治体からの貸し出しも増えている。法人貸し出しは1社で大きく拠点数を増やせるためakippaにとってもメリットが大きいようだ。
拠点数の拡大に伴って売上高も増加している。具体的な金額は明らかにされなかったが、売上高は前年同月比で20倍以上になっている。予約のニーズが高いのは、スタジアムやイベント会場周辺や都心部など。具体的には東京の山手線圏内、大阪市内、名古屋はナゴヤドーム周辺などは稼働率が高い(40〜50%)。
当初は想定していなかった法人ニーズも見えてきた。例えばコンビニエンスストアなどは店舗ごとに1日7回程度配送トラックが訪れるわけだが、駐車場のない店舗では、そのトラックの路上駐車が問題になっていた。そういった課題を解決するため、akippaを利用しているのだという。現在大手コンビニ3社中2社がakippaを利用。今回出資したトリドールが運営する飲食店「丸亀製麺」なども、ロードサイド店舗の従業員用駐車スペースの確保のためにakippaを利用しているという。ただしあくまでもakippaは「遊休スペースのシェア・マッチング」を目的としたサービスであり、法人に特化して「駐車場獲得代行を目指しているわけでない」(akippa代表取締役社長の金谷元気氏)としている。
akippaが人材採用やPR、駐車場確保と並行して進めるのが、駐車場の時間貸しだ。これまで1日利用だったところを1〜3時間程度の短時間で貸し出すことで、回転率の向上を狙う。「1日3回転程度できるように、4月から試験運用を行う。駐車場は利用時間の超過なども起こるので、まずはオペレーションを作っていく」(金谷氏)